「建物改修・活用のための建築法規」は事例で用途変更や適法化がわかる本

既存建物の活用や改修・リノベーションを行うためには、デザインや機能への理解だけでなく、用途変更や適法化などの建物の法律を理解する必要があります。

書籍「建物改修・活用のための建築法規」では、建築法規に精通した建築士である著者が、改修の社会的なニーズや実際の事例をベースに用途変更や適法化の手続きをわかりやすく解説しています。

この記事では、「建物改修・活用のための建築法規」を読むと得られるメリットや、どのような方におすすめかなどを解説しています。

用途変更や適法化に取り組む「建物の法律家」という仕事

「建物改修・活用のための建築法規」の著者である佐久間悠氏は、適法化改修などを専門とする「建物の法律家」です。

用途変更や適法化には、建築法規の詳しい知識が必要となります。しかし、建築法規はとても複雑なため、何から手をつけていいかがわからない事業者やオーナーの方は多いです。

佐久間氏は建築法規に精通した建築士として、事業者やオーナーが抱える課題の解決に取り組んでいます。

「建物改修・活用のための建築法規」は佐久間氏が代表を務める設計事務所である建築再構企画が実際に取り組んだ事例をもとに、用途変更や適法化の手続きをわかりやすく解説しています。

違反建築物が多い理由や社会的な背景などがわかる

用途変更の手続きを取っていない、完了検査を取得していないなど、違反を抱えた建築物は世の中に数多く存在しています。

佐久間氏によると、実はほとんどの建築物は何かしらの違反を抱えているそうです。例えば1998年に完了検査を受けて検査済証を取得した物件の割合はわずか38%に過ぎないというデータが示されています。

そのため、事業者やオーナーが活用を検討していた物件が実は違反状態だった、というケースはけして珍しくはなく、違反建築物の適法化のニーズは社会的に多く存在しています。

「建物改修・活用のための建築法規」では、世の中に違反建築物が多い背景や適法化のニーズについて、わかりやすく解説されています。

建物のオーナーや事業の運営者が建築法規に直面する状況が理解できる

改修工事や物件の取得での手戻りを避けるためには、事業者やオーナーはなるべく早い段階でさまざまな建築に係る法律に対応する必要があります。

例えば、都市部では土地が高いため、保育施設や福祉施設はテナントとして入居するケースが多いです。

オフィスビルの物販店などだった部分に保育施設が入居する場合、用途変更の手続きが発生します。また、バリアフリー法が係るため、多目的トイレの設置が必要といった多くの制限をクリアする必要があります。

「建物改修・活用のための建築法規」は、さまざまな事業の事例が紹介されており、事業者が建築法規に直面する経緯や背景がわかりやすく解説されています。

建物のオーナーや事業者が抱える課題

用途変更の手続きなどを知らずに違反建築物になるケースは多い

「建物改修・活用のための建築法規」では違反建築物の多くは、オーナーや事業者が建築法規に明るくなく、知らずに違反状態になっている場合も多いと解説されています。

例えば、建物の用途を変える際は用途変更の手続きが必要ですが、そのことを知らずにいて行政に指摘されてしまった事業者の例も挙げられています。

違反状態を行政などに指摘されると、改修工事に手戻りが発生したり事業の開業に支障が生じたりする場合もあります。そういった事態はオーナーや事業者はもちろん、プロジェクトの関係者にとっても大きなデメリットになり得ます。

図や写真が豊富でさまざまな事例や複雑な経緯の解決策も理解しやすい

「建物改修・活用のための建築法規」の事例は複合的な課題を解決するために、さまざまな法律や制度が組み合されている場合が多く、経緯も複雑になりがちです。

また、戸建住宅をシェアハウスにする、宝石店を保育園にする、オフィスビルをホテルにするといったさまざまな事業の事例が紹介されており、業種によっては課題や背景が複雑な場合もあります。

しかし、事例を図や写真を活用して丁寧に図説されているため、最終的に選択された解決策がさまざまな課題を解決する過程が明快に理解できます。

図や写真が豊富で改修のプロセスがわかりやすい

改修についての社会的な位置づけから具体的な事例までが地続きでわかる

「建物改修・活用のための建築法規」は大きく3部構成になっており、巻末にツールボックスという資料がついています。それぞれ以下のような内容になっています。

  • 1部:既存物件の改修に係る社会的な状況や建築法規の基本情報
  • 2部:既存物件を再生するための基本ステップ
  • 3部:実際に取り組まれた改修工事の事例集
  • ツールボックス:知っていると改修工事に役立つ工法とその特徴

1部から3部までで、改修や建築法規の社会的な位置づけ、改修工事の基本的な手順、具体的な事例という展開になっており、改修についての全体像が地続きでわかる構成になっています。

事業者やオーナーにとって現実的な課題解決の考え方がわかる

既存の物件を活用したい事業者やオーナーにとって、かけられるコストや時間には制限があります。

「建物改修・活用のための建築法規」では既存物件の改修工事について、QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期・スケジュール)のバランスを取ることが、特に大切だと解説されています。

コストやスケジュールを守りつつ無理なく実現できる品質のバランスを取ることが、多くの事業者やオーナーにとっての最適解である場合が多く、実際の事例ではどのようにQCDのバランスを考えたかが丁寧に解説されています。

「建物改修・活用のための建築法規」はこのような方にオススメです

「建物改修・活用のための建築法規」は以下のような方におすすめの一冊です。

  • ビルオーナーの立場で、建物活用のリスクと現実的な課題解決方法を知りたい方
  • テナントビルに入居して保育園などを開業したい、福祉系の事業者の方
  • 中古物件に投資・購入して利益をあげたいが、中古物件活用のリスクを知りたい方
  • 既存の物件を活用したい事業者やオーナーの課題を背景から知りたい建築設計者
  • 用途変更や適法化のための、手続き内容やタイミングを知りたい方
  • さまざまな事業での用途変更や適法化の具体的な課題解決事例が知りたい方

既存の物件を活用したいと考えている事業者やオーナーの方の課題やお悩みの背景、用途変更や適法化に係る社会的なニーズなどがわかりやすく解説されています。

巻末資料のツールボックス

建物の法律を取り巻く状況がわかる解説書

「建物の法律家」である佐久間氏は、建築法規に精通した建築士として、違反建築物の適法化を専門に取り組んでいます。

「建物改修・活用のための建築法規」では、世の中に違反建築物は数多く存在することや、既存物件を活用したいというニーズの社会的な背景などが解説されています。

また、実際の事例を元に詳しく用途変更や適法化の手順が解説されています。図や写真が豊富なため、複雑な課題解決の経緯も理解しやすくなっています。

「建物改修・活用のための建築法規」は用途変更や適法化といった、建物にかかわるどの立場のかたにも役立つ解説書です