スーパーゼネコン大手5社の比較と各社の強みを建築部門を中心に紹介

数ある大手ゼネコンの中でも、竹中工務店・清水建設・大林組・大成建設・鹿島建設の5社はスーパーゼネコンと呼ばれています。

スーパーゼネコン各社は、規模は似ていますが、会社の成り立ちや社風、得意領域などは大きく異なります。

そこで、この記事では、スーパーゼネコン各社の売上や業績、設計・デザイン部門の活動や、施工実績などの各社の特徴を、IR情報や公式ホームページなどの公開情報を元に、わかりやすくまとめています。

スーパーゼネコン以外の大手ゼネコンについて知りたい方は、「戸田建設や前田建設工業など、大手・準大手ゼネコン4社の建築分野の実績や違いを紹介」もあわせてお読みください。準大手ゼネコンを3回に分けて解説しています。
※2017年10月26日一部追記(2016年10月17日公開)

大手ゼネコンの中でも別格のスーパーゼネコン5社とは

スーパーゼネコンとは一般的に竹中工務店・清水建設・大林組・大成建設・鹿島建設を指します。この5社の中にそれぞれ設計部を持ち、いずれも単体での売上が1兆円を超えています。

ちなみに、大手ゼネコンとして良く規模が比較される戸田建設や、売上が大きいと言われる長谷工コーポレーションでもおおよそ4,000億円前後の売上高です。戸田建設や長谷工コーポレーションの実績については「戸田建設や前田建設工業など準大手ゼネコン4社の売上や建築分野の実績を解説」にてまとめています。

また、建築での売上比率がおおよそ70パーセント以上と高いこともスーパーゼネコンの特徴と言えるでしょう。スーパーゼネコンに次ぐ準大手規模のゼネコンの中でも、マリコンと呼ばれる五洋建設では建築での売上比率が50パーセントに届きません。

売上高が大きく、建築の比率も高いという事がスーパーゼネコンに共通する特徴と言えます。

2016年度の大手5社の売上実績

竹中工務店 清水建設
総売上高
(2016年度)
  約9,550億円  約1兆2,910億円
建築部門売上   約9,120億円   約9,560億円
建築部門比率  約95.4% 約74.0%
社員数  7,307名 10,728名
大林組 大成建設 鹿島建設
約1兆3,040億円  約1兆1,760億円 約1兆2,030億円
約9,910億円  約1兆80億円 約8,350億円
76.0% 85.7% 69.3%
8,524名  8,415名 7,611名

2015年度の大手5社の売上実績

竹中工務店 清水建設
総売上高
(2015年度)
  約1兆90億円  約1兆4,060億円
建築部門売上   約9,430億円   約1兆670億円
建築部門比率  約93.5% 約75.9%
社員数  7,473名 10,751名
大林組 大成建設 鹿島建設
約1兆2,350億円  約1兆2,210億円 約1兆1,660億円
約9,080億円  約8,790億円 約8,240億円
73.6% 72.0% 70.7%
8,402名  8,072名 7,527名

竹中工務店はスーパーゼネコンの中でも建築に強く唯一の非上場企業

竹中工務店は単体での売上高がおよそ9,000億円で、会社概要によると、2017年3月現在での社員数が7,307人となっています。

スーパーゼネコン5社の中では唯一売上が1兆円に届かず、社員数も最少であることから最もコンパクトなのですが、竹中工務店は売上高に占める建築部門の割合が9割を超えているただ一つのスーパーゼネコンです。そのため、大手ゼネコンの中でも特に建築に強いと言えるでしょう。

実際、竹中工務店の建築設計部は業界でも有名ですし、ホームページも、ゼネコンというよりは設計事務所のそれに近い印象です。また、竹中工務店はスーパーゼネコン5社の中で唯一の非上場企業であることも特徴の1つです。

実績に関しては「建築作品」と「ソリューション」のカテゴリーから探ることができます。前者はいわゆる作品集的な立ち位置ですが、後者は技術的な観点からの解決として建物が紹介されているイメージです。
また、「竹中のデザイン」という特設ページも設置されており、竹中工務店を支えた設計者、建築作品に込められた設計者の思いやコンセプトなどが紹介されています。ここでは一部の図面も閲覧できるため、竹中のデザインを本質から詳しく知ることが出来るようになっています。

「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」という経営理念からは建築に誇りを持つ竹中工務店を感じます。スーパーゼネコンの中でもかなり個性が強いゼネコンであると言えるでしょう。

竹中工務店施工のあべのハルカス

清水建設はスーパーゼネコンの中でも最大の規模

清水建設は単体での売上高がおよそ1.3兆円で、会社概要によると、2017年3月現在での社員数が10,728人となっています。スーパーゼネコンの中でも清水建設は売上高・社員数共に規模が大きいゼネコンです。

清水建設の公式ホームページでは、ピックアップコンテンツとして「社寺建築・伝統建築」を挙げています。「社寺建築・伝統建築」については建築系の実績紹介の中でも単独でページが設けられており、「トピックス」にてプロジェクトの説明が写真付きで紹介されています。

例えば、本妙寺の高麗門再建の為の原寸図作成の様子、鹿島神宮大鳥居工事における樹齢600年のご神木で鳥居を再建するための切出し・加工・神事の様子は興味深く感じました。伝統建築に関わってみたいとお考えの方は是非読んでみて下さい。

意匠系の情報は、2017年9月にリニューアルの「shimz design」という清水建設設計部のページが用意されています。コンセプト・図面などが紹介されている作品集や、歴史なども紹介されています。以前からあった「stream DEW」も設置されています。
建築技術だけでなく、デザイン面の情報発信も活発になってきた印象です。
清水建設施工のコクーンタワー

大林組は建築分野の情報発信が盛んで近年では東京スカイツリーが有名

大林組は単体での売上高がおよそ1.3兆円で、会社概要によると、2017年3月現在での社員数が8,524人となっています。大林組は建築分野の情報発信に積極的です。

トップページの「実績の紹介」から「ARCHITORIUM OBAYASHI DESIGN PROJECTS」や「東京スカイツリー建設プロジェクト」などの別サイトで作成された特設ページへ飛ぶことが出来ます。

「ARCHITORIUM」は大林組設計部の建築設計プロジェクトの特設ページで、プロジェクト紹介にはかなりの力を入れています。わくわくコマツ2号館をはじめとした注目のプロジェクトについては、ムービー・CGを使って建築の紹介や設計コンセプト・ダイアグラムを見ることができます。映像としてかなりしっかり作られているので必見です。

また、「WORKS」ではそれぞれ個別の建築について紹介されていますが、プロジェクトによってはその建築に使われている大林組の保有技術に関するリンクがつけられています。リンクをクリックするとその建物に使われている技術の紹介ページを見ることができます。

意匠と技術を一緒に見せる試みは面白く感じましたし、大林組の建築設計に対するスタンスが表れているように感じました。ゼネコンの設計部で建築に関わりたいという方は是非見てみましょう。

東京スカイツリー

大成建設は社員が株主となったゼネコンでも珍しい非同族会社

大成建設は単体での売上高がおよそ1.2兆円で、会社概要によると、2017年3月現在での社員数が8,415人となっています。グループ企業としては、不動産系の大成有楽不動産などがあります。そして、大成建設にはゼネコンでは珍しい非同族会社であるという大きな特徴があります。

大成建設は、ホームページ上で「大成建設の設計施工」というページを設けています。ここでは、企画・設計・技術・維持という4つの観点から、設計施工一貫方式のメリットについて発信しています。
これはゼネコン設計部と組織設計事務所での最大の違いとも言えるので、どちらの立場で建築に関わりたいか考えている方は是非見てみましょう。

また、このページではプロジェクトに関わる設計者個人がそれぞれ紹介されています。どんな設計者がそのような考え方で大成建設で建築に関わっているか知ることが出来ます。

大成建設では、建築設計分野の情報発信として、大成建設設計本部の建築作品やデザイン活動を紹介する「de’ TAISEI DESIGN」という特設ページを用意しています。

ここでは設計した建築について、建築・構造・設備それぞれの視点で設計主旨が紹介されており、それぞれの担当者がどういった視点で課題解決を行ったのか知る事ができます。キャリアを通じて大きな会社で働いてきたことがない方は、実務において各分野の設計者がどう関わるのかイメージする助けになるので必見です。

建築の働き方の悩み、プロに相談しませんか?

鹿島建設は超高層建築やKAJIMA DESIGNで有名なだけでなく開発事業もアピール

鹿島建設は単体での売上高がおよそ1.2兆円で、会社概要によると、2017年3月現在での社員数が7,611人となっています。海外進出や開発事業に力を入れているようで、ホームページ上で大きく紹介されています。

また、鹿島建設は日本初の超高層ビルディングと言われる霞が関ビルを手がけた流れから、超高層建築の実績も豊富です。また、インテリア系のグループ会社としてイリアがあります。

鹿島建設は、「土木技術」「建築技術」「環境保全技術」の3つを大きな柱として掲げており、特に土木技術を重視している印象です。

建築関連の情報発信としては、ウェブ上に「KAJIMA DESIGN」の特設サイトを用意しています。また、特設サイト以外でも各用途やテーマごとのページを設定しており、「学校・教育施設」「医療・福祉施設」のページでは単なる作品紹介ではなく、建築環境技術や経営・運営にまで踏込んだ情報発信を行っています。

また、冒頭でも触れましたが「鹿島の開発事業」をホームページ上で大々的に発信しています。鹿島建設は1970年代よりゼネコンデベロッパーとして開発事業を行ってきた経緯があり、ゼネコンというポジションでの開発事業に関心のある方には面白いと思います。

伝統的に建築に強い竹中工務店、大林や大成も近年力を入れている印象

今回はスーパーゼネコン5社について取り上げてみました。各社の特徴をまとめると下記の通りです。

  • 竹中工務店:売上高の9割が建築部門の建築特化型ゼネコン
  • 清水建設:売上高・社員数共に大、伝統建築を売りにしている
  • 大林組:近年建築分野の情報発信に力を入れており、ゼネコン設計部のイメージを掴みやすい
  • 大成建設:ゼネコンでは珍しい非同族系の会社
  • 鹿島建設:超高層建築やKAJIMA DESIGNだけでなく、海外進出・開発事業にも実績あり

このように、スーパーゼネコンといっても各社特徴があります。転職の際はしっかり下調べをしましょう。また、転職や仕事探しの参考になりそうな記事を下記にご紹介します。

ゼネコンで働いている方やゼネコンでのキャリアの育て方、発注者などへのステップアップする転職先については「ゼネコンなど建築技術者から発注者への転職。情報収集して満足な転職を実現しよう!」や、建築業界で転職する際の情報収集手段についてまとめた「建築の転職方法や求人情報サイトの使い方をすべて解説します」をご覧ください。

建築業界で転職する際の情報収集手段についてまとめた記事です。仕事の探し方の参考になると思います。

また、フリーランチのキャリア相談では、ゼネコン設計部や組織設計事務所への転職に関して、個別の経歴をヒアリングした上で失敗しない企業の選び方やセカンドオピニオンの相談を承っています。
ご活用下さい。

仕事の悩みを働き方のプロに相談しませんか?