組織設計事務所ってみんな同じ?業界大手10社の概要大公開!

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日本国内にはいわゆる組織設計事務所と呼ばれる建築設計事務所が数多くあります。定義の仕方にもよりますが、その中でも大手や中堅といわれている組織設計事務所にはそれぞれどのような特徴があるのでしょうか?

今回は組織設計事務所の中でも規模が大きく有名と思われる大手組織設計事務所10社をピックアップし、各社のホームページのトップや会社概要、作品紹介の項目の情報を中心に、それぞれの組織設計事務所の概要をまとめてみました。

なお、組織設計事務所での働き方やキャリアアップ、転職の可能性について興味がある方は、派生記事建築系組織設計事務所での働き方、キャリアの積み方や転職先は?についてまとめてあります。あわせてお読みください。
※2017年5月13日追記(2016年9月13日公開)

大きく分けると組織設計事務所は2種類

組織設計事務所それぞれの沿革を読み取っていくと、その成り立ちを大きく二つに分けることが出来ます。それは、グループ系組織設計事務所であるか、または、独立系組織設計事務所であるかどうかです。

グループ系組織設計事務所では、同じグループに属する企業に関係する建物の設計を行うことが多いです。代表的なのは、NTTファシリティーズ三菱地所設計ジェイアール東日本建築設計事務所などの組織設計事務所です。

一方、独立系組織設計事務所ではグループ系組織設計事務所ほど手堅い受注先は見込めないものの、より独立性の高い立場で提案できる機会が多いようです。そういった背景の違いは入社後に関わる仕事内容に大きく影響します。しっかり事前に確認しましょう。

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グループ企業と密接な仕事が多い大手組織設計事務所3社

先ずはグループ系組織設計事務所として代表的な3社をご紹介します。

いずれも大手組織設計事務所の中では規模が大きく、また、所属するグループの事業に関連のある仕事が多い点が最大の特徴と言えます。それでは、一つずつ見て行きましょう。

丸の内で有名な三菱地所設計

三菱地所設計は総合デベロッパーである三菱地所グループの設計事務所です。
会社概要を見てみると、社員数は2016年4月時点で600名となっています。また、沿革のページをみてみると2001年に三菱地所内の設計監理事業本部を分社して設立したことがわかります。

歴史は古く、その源流を遡ると1890年の丸ノ内建築所という組織に行き着きます。以降、丸の内の街並をつくって来た設計事務所といっても過言ではないようです。

現在も三菱地所グループの一員として丸の内界隈のプロジェクトや、三菱系企業に関連するプロジェクトを多く手がけています。「PROJECT」ページを覗くとその様子がよくわかります。やはりオフィスが多いようですが、小中規模よりは大規模なプロジェクトが多そうです

また、あまりイメージは無いですが項目としては「流通施設・工場」も携わっています。ただし、現時点では14件だけで、そこまで力を入れている領域ではないようです。ちなみに、「オフィス」では120件なので、8倍以上、いかに力を入れているかが分かります

更に広報誌として毎年「YEARBOOK」というものを作成しています。これはホームページでも閲覧可能で、なかなか力を入れている印象です。

その他、「ものづくりの視点」という連載を行っており、まちづくりや地球環境といったテーマから一本の線を引くことの大切さといった職人気質な記事もありました。どんな考えの人が社内にいるのか知るには良い資料になりそうですし、ホームページからの情報発信について積極的な事務所だと感じます。

海外展開という面では上海とシンガポールに拠点があるようです。

逓信建築の流れを汲むNTTファシリティーズ

NTTファシリティーズのホームページを見ると、NTTグループの建築設計事務所というとちょっと語弊がありそうな雰囲気を感じます。

トップページの「事業分野」を見ると、建築設計というような書き方はしておらず、「ビル・施設・オフィス」や「データセンター」の中に「企画・設計」というかたちで項目を設けています。

「太陽光発電」の中にもそういった文言がありますが、いわゆる建築設計とはちょっと違いそうです。そういう意味で、建築設計事務所という機能はNTTファシリティーズの一部分という理解の方が正しそうです

会社概要では従業員は5500名もおり、一級建築士は780名です。「建築作品集」を見ると、「情報通信施設・放送局」という項目が特徴的ですが、ページ自体が簡素な作りなので実態をつかみ難い印象を受けます。

ただ、「Award」の項目を見ると、建築設計に力を入れていないというわけではないという事がわかりますし、「History」を見ると逓信建築の流れを汲む歴史ある組織だとわかります

海外展開については、拠点は持っているようですが、NTTファシリティーズの性質上、設計事務所機能単独というわけではなさそうなので、その点は注意が必要かと思います。

駅施設に強いジェイアール東日本建築設計事務所

ジェイアール東日本建築設計事務所はJR東日本グループの設計事務所です。会社概要によると2016年4月時点で従業員は553名、一級建築士は283名在籍しています。2015年度決算では売上高が約100億円です。

「実績」を見れば良くわかりますが、JR東日本グループということで駅関連のプロジェクトが多いということが一番の特徴です。また、駅ビルや、アトレ・ルミネといったグループ企業があることから商業施設の実績も多いです。

一方で、数は少ないですが国見町庁舎のような公共建築の分野にも徐々に進出しているようです。また、とても特徴的なのが会社概要等を見ても海外拠点の情報が全くないという点です。

JR東日本の管轄を主戦場にしているので、逆に言うと入社後に海外プロジェクトの仕事に取組みたい設計者の方は注意が必要でしょう。

組織設計事務所大手10社で働く人のイメージ

独立系有名大手組織設計事務所7社。業界トップは日建設計!

次に独立系の大手組織設計事務所を見て行きましょう。建築・建設業界の人間なら一度は耳にしたことのある組織設計事務所ばかりですが、事務所の規模としては結構差があります。

また、全方位的に強みがある組織設計事務所から、売りとなる領域を持っている事務所まで様々です。

日本を代表する組織設計事務所である日建設計

日建設計は日本で最も有名な組織設計事務所といって差し支えないでしょう。会社概要によると2016年4月現在で1848名の所員を擁し、そのうち一級建築士は821名在籍しています。

「WORK」を拝見すると、設計した建築だけでなく、そこに関わった「人」を大きく紹介しているのが印象的です。設計者一人一人を尊重する、そんな社風を伺い知ることができます。一覧をみると、都市開発やオフィスといった項目が上位に表示されており、オフィス分野では特に強い実績を持っているというイメージ通りの組織設計事務所です。

また、海外プロジェクトも盛んなようで、海外に10カ所拠点を設けています。エリアもアジアに限らず、ドバイやモスクワ、バルセロナと幅広いです。

また、売上等の情報にホームページから簡単にアクセスできるのも印象的で、公開されている第73期の情報では売上高における設計監理収益が427億円となっています。一人当たりの売上高は2300万円という計算です。ちなみに、純利益は3億円となっています。

都市再開発に強みを持つ日本設計

日本設計は会社概要によると2016年4月現在で所員数920名とかなりの大所帯で、国内を代表する組織設計事務所の一つです。また、実績紹介を見てみると、「建築」の他に「都市再開発・都市計画」「コンサルティング」といった分け方をしているのが印象的です。

言われてみれば筆者の持つ近年の日本設計のイメージと言えば虎ノ門ヒルズが思い浮かびますし、都市再開発や都市計画レベルのプロジェクトに強みを持っている組織設計事務所であると言えるでしょう。ホームページに関しては知名度の割に結構簡素なつくりで、事務所のキャラクターというか、+αの情報は見え難いかなというのも個人的な印象です。

海外進出という点では、中国上海とベトナムに拠点を置いています。

どの分野でも豊富な実績、久米設計

久米設計は会社概要によると社員数は600名、そのうち一級建築士は335名と国内では大規模な組織設計事務所です。公式サイトの「Project」では「庁舎・業務」建築がトップに来ていますが、見せ方としては日建設計や日本設計に比べてフラットな印象です。

ただ、一つ一つのプロジェクトを選択すると、どれも比較的しっかりした文章で建物を紹介しています。どの分野でも実績が豊富な組織設計事務所なので、その現れでしょうか。受賞も数多い組織設計事務所ですが、そちらについては「About」の中でまとめて紹介しているようです。

海外展開はベトナムのハノイ、ホーチミンと中国の上海です。

医療施設や庁舎、大学に実績を持つ山下設計

山下設計の公開されている情報によると、社員数は457名、そのうち一級建築士は286名となっています。
「プロジェクト」の一覧表示を覗いてみると、医療施設が比較的多い事に気づきます。また、庁舎や大学もちらほら見られ、そういった用途に強みがありそうです。

また、「プロジェクトストーリー」というページでいくつか主要な実績を取り上げ、より詳細に取組みを伝える試みをしています。手がけた建築の発信の仕方は日建設計と近い戦略のようです。

海外拠点としてはヤンゴンとニューヨークがあるようですが、後者については連絡先が記載されていないので、本格的な進出はこれからなのかもしれません。

公共建築に実績あり、高い知名度の割にコンパクトな佐藤総合計画

佐藤総合計画の会社概要によると所員数は277名、そのうち一級建築士は170名となっています。知名度の高い組織設計事務所の中では比較的コンパクトなようです。

作品紹介には力を入れているようで、「近作紹介」に取り上げられている建築には多くの写真とともに詳細な解説が添えられています。「作品集」では「博物館・美術館」や「ホール・展示施設」「文化施設」等が上位に表示されているのが特徴的で、大手組織設計事務所の中でも公共的なプロジェクトに実績があります

その他でおもしろいのが、拠点が両国に立地している関係からか、隅田川再生を提言する特設ページや隅田川を軸としたコンパクトシティ提案のページを持っていることです。

所在地に関連する活動を行っている組織設計事務所は少ないと思うので、そういったことに興味がある設計者には良い環境かもしれません。

海外拠点としては北京事務所を持っています。

空港の梓設計

梓設計の会社概要では社員数が524名、そのうち一級建築士が286名となっており、久米設計に近い規模感の組織設計事務所です。「Project Gallery」では受賞実績がトップに来ており、一つの売りにしているようです。

また、「空港の梓設計」と銘打ったページを設けているのが最大の特徴と言えます。カテゴリ別の検索でも空港施設をトップに置いていることからも、この分野での絶対的な自信が伺えます。おそらく事務所のブランディング戦略の中心に位置づけられているのでしょう。

そして、カテゴリ別で2番手にある「スポーツ施設」での実績も豊富です。実現はしませんでしたが、新国立競技場コンペでは梓設計単独の名義で2次審査に残っています

海外事務所は中国に二カ所、ベトナムとミャンマーにそれぞれ1カ所持っています。

環境統合技術の石本建築事務所

石本建築事務所の会社概要によると、平成28年4月時点で所員数は363名、一級建築士は214名です。
作品集である「実績ライブラリ」を覗いてみると、特定のプロジェクトを大きく表示するのではなく均等に見せるスタイルのようです。ただ、傾向としては久米設計に近い見せ方です。

用途別の分類では「オフィス・庁舎」がトップですが、近作をザッと眺めると教育施設や文化施設が目立つように思います。

また、事務所紹介の中で「優れた建築は、同時に優れた環境装置である」という「環境統合技術」という考えを披露していることや、作品集より先に「技術とサービス」という項目が先に上がっている事から、技術的な観点を一つの強みにしているようです。

アメリカのオレゴンに関連会社を持っていますが、他の組織設計事務所で多いアジア圏の拠点は特に設けていないようです。

検索するイメージ

ホームページからわかる組織設計事務所のスタイル・スタンス

この他にも中堅の組織設計事務所には特徴的な事務所が存在します (参考記事:【松田平田】中堅組織設計事務所ってどうなの?特徴や違いを教えます!その1【RIA】)。

この記事では、大手組織設計事務所のホームページの基本的な箇所を中心に眺めてみましたが、それだけでも見えてくる特徴がありました。
もう一度組織設計事務所についてまとめますと、大きく分けて以下の2つです。

  • グループ系組織設計事務所
  • 独立系組織設計事務所

また、今回ご紹介した組織設計事務所の主な特徴は以下の通りです。

グループ系組織設計事務所

  • 三菱地所設計:小中規模よりは大規模なプロジェクトが多い
  • NTTファシリティーズ:逓信建築の流れを汲む歴史ある組織
  • ジェイアール東日本建築設計事務所:駅ビルなど商業施設に強い

独立系組織設計事務所

  • 日建設計:日本で最も有名な組織設計事務所でオフィス分野で実績を持つ
  • 日本設計:都市再開発や都市計画レベルのプロジェクトに強みを持っている
  • 久米設計:どの分野でも実績が豊富な組織設計事務所
  • 山下設計:医療施設や庁舎、大学に多くの実績を持つ
  • 佐藤総合計画:公共的なプロジェクト、建築に実績あり
  • 梓設計:「空港の梓設計」と絶対的な自信がある
  • 石本建築事務所:「環境統合技術」という技術的な観点を一つの強みにしている

ご覧のように情報発信の密度も様々ですが、最大手といっても過言ではない日建設計はその点でも抜かりない印象です

また、特別に言及はしませんでしたが、佐藤総合計画や石本建築事務所は創設者の紹介にもかなり力を入れている一方、山下設計はかなりあっさりしています。この辺りはブランディング戦略の違いなのかもしれません。

また、海外進出についてはアジア圏に拠点を置いている事務所が多いですが、例外的にジェイアール東日本建築設計事務所のように国内のみの場合もあり、この辺りはグループの主力事業の影響のように思われます。

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