良いアウトプットのために「行動の技術」を磨こう:書評「外資系コンサルの知的生産術」

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この本は、知的生産とは机に向かって資料を分類したり、文章を書き上げたりすることだけではないという、考えてみればひどく当たり前の事に事に気づかせてくれます。

知的生産術について書かれた本はすごい多いですよね。どのような仕事をしていても、新たなビジネスを提案するためには既存の業界分析から始まり自分が推し進めたいビジネスがどのような顧客を創出し社会にインパクトを与えるかという予測が必要で、表現の硬さやビジュアル的なレベルの違いはあれど、一緒に働く仲間に伝えないといけない言葉があるはずだからです。

まさに、自分たちで言葉を紡ぎだすことが難しいと考える人たちのために新しい言葉をつくるための手伝いをするのがコンサルタントであり、その手法を吸収することがコンサルタントにかかる費用を最小化することだろ、という費用対効果の面からの欲求があって、コンサルタントの書いた知的生産術の本がありがたがられるのでしょう。

ただ、そこにはコンサルタントに対するアレルギーというか、羨望と否定がないまぜになって生み出されるイメージがあります。つまり、「あの人たちは頭がいいからきっと数字をいじって考え事をしてるんでしょう……」と。今、ものすごくざっくり言いました。

そのイメージにはまるような、「論理的思考」や「フレームワーク」を全面に押し出した本がよく売れ、その著者がいわゆるコンサルキャラとしてセルアウトしていく事でさらにイメージが固定化されていく……という構図がよく見られたのがここ10年ほどの流れなのかなと思います。

今回紹介する山口周・著「外資系コンサルの知的生産術 ~プロだけが知る「99の心得」~」はその点でまず「論理的思考」のみをありがたがる風潮への疑問から始めることを説き、「思考の技術」だけでなく「行動の技術」を精緻化すること、つまり高いレベルで行動できるよう心得ることを求めています。

99項目もの心得があるので、ある程度自然にできていたことと、ああここはまさに心得なければいけない事だ…ということが細かく見えてくる。

例えば私の場合で言うと、「8.期待値のズレはすぐに調整する」の中で、期日までに期待されるクオリティのものをお出しできない時にまずは顧客にその不安を共有することの重要性を語っているところを常に読み込みたいと思う。自分でできると思っていたことが不安に変わる瞬間はよくあるが、そこで調整を行うことで、新たな制約を共有してその中での最善を追求することができるんだな……と感じます。

相談をするときは、納期・クオリティ・コストの三つについて、妥協できる要素が何かをはっきりさせます。具体的には、アウトプットクオリティは落とせるのか?期日を後送りにできないか?別プロジェクトの予算あるいは人でをこっちに回せないか?という三つの論点について相談します。

もちろん、しんどい交渉を重ねても多くの場合は突破口を見いだせず、「状況はわかったけれども、いろいろ厳しいし、とにかくまずは進めてくれ」ということになるケースが多いのですが、だからといってこれが無駄骨というわけでもないのです。

なぜかというと、期待値の調整になっているからです。結果的に妥協点を見つけることができなかったとしても、知的生産の初期段階で警告サインを出しているという意味合いは小さくありません。

この本はまさに、一人相撲をしてしまう人に読んでほしい本だなと思います。その意味で、孤独に陥りやすいフリーランスのためにも有用な本といえますね。

また、知的生産と呼ばれるアウトプットの成果として社会にどんなインパクトを残すのかということについても強く投げかける本になっています。特に「45.視座を上げる」という心得の中で、普段コンサルティング会社では自分の地位より2つ階級を上げた所から社会を見通してアウトプットを出すことを求めていますが、さらに高く、「革命家の視座」から世界を見なければ世界を変えるような物事は生まれないと訴えます。正直そこまで煽るか、という気持ちもちょっとありますが、時々思い起こすチェックポイントとしては必要なことだなと感じます。ぜひこの本を読んで、あなたが大事にしたい心得を感じていただければ。

外資系コンサルの知的生産術 目次

第一章 知的生産の「戦略」

 

第二章 インプット

 

第三章 プロセッシング

 

第四章 アウトプット

 

第五章 知的ストックを厚くする

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