伝わる資料はおいしい食事に通じる:書評「プロの資料作成力」

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プロの資料作成力
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清水 久三子
東洋経済新報社
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今回は具体的なスキルに繋がる本を紹介したいと思います。
「プロの資料作成力」というタイトル通り、実際にプレゼンテーションなどで資料を作成する際に使える、ビジュアル化の手法や意味がより伝わるエフェクトのテクニックを十分に伝えてくれる本です。

この本が素晴らしいところは、具体的なテクニックと合わせて、なぜそのテクニックが必要になるか、ちゃんと伝わる資料にするために適度な情報量や見た目などを調整することの重要性をシンプルに伝えてくれるところにあると思います。

清水氏は伝わる資料に必要な要素として、「料理のテクニック」「おもてなしの心」を取り上げています。特に「料理のテクニック」というフレーズは理解すると本当にそうだなと思いますね。

つまり、資料のわかりやすさを料理に必要な食べやすい一口の量、見た目、彩りといった要素になぞらえているわけです。おいしくてじんわり身体にいいなと思うご飯を思い起こしてみましょう。その料理の見た目、出し方のバリエーションを考えると実はそこに、人に伝えるべきことをどうお出しするか……という事のヒントが隠れているというわけです。

さらに、資料を作る手順、構成の段取りについても料理を作る側の立場から「同じ料理を繰り返し作るように、同系統の内容の資料を繰り返し作ることで習得を早くする」といったテクニックを伝えていて、そこもうなずけます。料理は飽きるほど同じものを作ることでコツが分かったり、手順の理解が進みますからね。

この本を読んでいて感じたのが、清水さんがプレゼンテーションというものを過信していないことがとても良い方向につながっているという事ですね。特に、次のエピソードが印象的です。

私が資料作成を自身の強みとして認識したきっかけは、私が作成した資料をあるエグゼクティブの方から「一目見れば理解できるから説明不要」と言われたことがきっかけでした。「説明しなくてもいいなんてラッキー!資料作成を頑張ってよかった」と思ったのです。
(「おわりに」 より)

資料を作り伝えるためには分量と熱意が必要、という考え方の方もおられるかと思いますが、それをなるべくそぎ落として短時間で伝わるものを作ることが大切なのです。資料を作成する側にとってもスピードは非常に大切ですが、その資料を見る側にとっても時間は限られています。特にエグゼクティブ層は非常に忙しい中で大量の資料説明を受けるので、その中で実際にプロジェクトを動かすレベルまでの感動を生むためには短く、かつしっかりと練られた言葉があり、全体的な構図を示したチャートに落としこむ必要があるというわけです。

その中で、情報の量を適切にするという方向からのアプローチで、特に清水さんならではの言葉で語られているのではと感じます。その中でも情報の因数分解というテクニックは抑えておきたいと感じました。細かい文字で文章が並ぶ資料をいかにビジュアルにまとめていくか、という事を考える時に、繰り返し出てくる言葉でくくりあげ、その言葉をラベル化することを数式の因数分解になぞらえています。自分が伝えたいことの根底に何があるか……という事を見つめる作業にもなります。

「考えが浅いほど文字量は多くなる」と清水さんは語ります。”仕事をした感”にとらわれず、必要なところは何か、いかにわかりやすく伝えるかを主眼に本質を捉えるための作業を深く掘り下げ、わかりやすい資料で人に伝えていきたいと思いますね。

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「プロの資料作成力」 目次

chapter 1  プロフェッショナルの資料に求められるもの

chapter 2[意義がわかる資料の作成方法]
      「目的」「ターゲット」「メッセージ」の明確化

chapter 3[意味がわかる資料の作成方法]
      資料の構成を考える

chapter 4[意味がわかる資料の作成方法]
      情報の質と量を最適化する

chapter 5[意味がわかる資料の作成方法]
      ビジュアルオブジェクトのテクニック

chapter 6[意味がわかる資料の作成方法]
      ビジュアルエフェクトのテクニック

chapter 7  資料のクオリティを高めるヒント

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