思考の氷山に気づき未来を押し開こう:書評「レジリエンスの教科書」

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レジリエンスの教科書: 逆境をはね返す世界最強トレーニング
カレン・ライビッチ アンドリュー・シャテー
草思社
売り上げランキング: 30,949

仕事の上で様々な障害があり、そのハードルをどのようにのりこえるかという事について考えるために重要な考え方として「レジリエンス」という概念を取り上げた本を紹介したい。気になっていた概念なので、新しい年を迎えるにあたり読んでみて非常に良かった。

レジリエンスと言う言葉自体はご存知の方もおられるだろう。直訳すると「逆境力」であり、ストレスに対する耐性であったり、逆境を跳ね返す抵抗性ということで単純に理解をすることもできるが、本書では単純なポジティブシンキングや行動の仕方の改善で克服するのではなく、なぜ人は困難に直面した時にへこたれてしまうのかという思考のクセに着目し、いかにして陥りがちな思考のクセに気づき、対処するための行動に結びつけていくか?という流れを丁寧に解明していく。

この本の面白いところは根拠の無いポジティブシンキングや対処行動はかえって逆効果になるということを示している所だ。松岡修造でもあるまいし、常に熱く元気よくでは疲れちゃうしうまくいかないよ~……と我々がなんとなく察していることを丁寧に解きほぐし、ある局面を「逆境」だと思い込んでしまう自身のクセを、性格に合わせて考えられるように構成している。

てか、あの人も深く考えた上で自分が世界に対抗するパフォーマンスを上げるための行動のクセが今面白くなっているだけで。個人個人の思考のあり方に合わせたオーダーメイドでなければその人のレジリエンスは発揮されないということを深く納得できただけでもこの本を読んだ意味があったように感じる。

またこの本が説く中で面白いのは、レジリエンスは思考のクセや自身で理解していない思考の動きを「氷山思考」と呼び、その氷山思考を理解するトレーニングを重ねることで後天的に獲得することができる能力だと伝えていることだ。だからこそ「教科書」として、具体的なトレーニングも込みでの内容となっている。それも自身の氷山思考に気づき、その思考の流れに対する行動を取ることが大事だと述べているからである。

そのためにまずレジリエンスが活かされる7つの能力について、読者ひとりひとりがどの能力に長け、どの能力が足りないのかということを分析することから始めている。その7つの能力をそれぞれ「感情調整力」「衝動調整力」「楽観力」「原因分析力」「共感力」「自己効力感」「リーチアウト力」と呼び、瞬間的な感情の制御から現状の分析、そしていかにして行動を改善していくことができるかという能力を分野ごとに見ている。その中でも私が感嘆したのが「リーチアウト力」だ。

レジリエンスはただ困難に立ち向かい現状を改善するだけの能力だと思っていたのだけれど、その行動の改善がさらに未来へ自分を押し開く、リーチアウトする力も伸ばすことに繋がるという認識が持てたことが、本書を読んでのもう一つの大きな収穫だった。自分が行き慣れない場所に向かう時の不安、その不安を招く思考も解読して未来に向けてのワクワクへと変えることができる。それは場慣れすることでしか克服できないだろうと感じて自分を押さえ込んでいたのだけれど、数倍速で強くなれそうだ…と心が高鳴った。

直訳調で結構読みにくい部分もあるけれど、トレーニングを重ねることが大事な本なので、ゆっくり読み進めるべきなのではないかと思う。いちいち読んでる暇がないよって方には、Part3で具体的なレジリエンスを活かした対処法も示してあるのでそちらから読み進めてもいいかもしれない。私は2016年、この本と共に未来を押し開く力を身に付けたい……って書くとカッコよすぎるね。新年なのでお許し下さい。

レジリエンスの教科書: 逆境をはね返す世界最強トレーニング
カレン・ライビッチ アンドリュー・シャテー
草思社
売り上げランキング: 30,949

 

「レジリエンスの教科書」もくじ

イントロダクション

Part1 変化に向き合う

Chapter1 レジリエンスとは、何か?

Chapter2 あなたのレジリエンス度は?

Chapter3 レジリエンスの土台を気づく

Part2 7つのスキルを身につける

Chapter4 スキル1 自分をABC分析する

Chapter5 スキル2 思考のワナを避ける

Chapter6 スキル3 氷山を見つける

Chapter7 スキル4 思い込みに挑む

Chapter8 スキル5 大局的にとらえる

Chapter9 スキル6~7 速攻型:心を静め、瞬時に反応する

Part3 レジリエンス・スキルを実践する

Chapter10 大切な人との関係をつなぐレジリエンス

Chapter11 レジリエンスで子育てがラクになる

Chapter12 仕事に活かすレジリエンス

Chapter13 レジリエントな人生を送るために

 

訳者あとがき

参考文献

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