建築転職ストーリー

退職に伴う保育園退園の危機から早期の解決へ。フリーランチによるトラブル対応方法とは?

職務経歴書が完成し、いよいよ本格的に面接へ臨むKさん。しかし同時期に、お子様の保育園入園に関わるトラブルが発生し早急な解決が求められる事態に。3回目の本記事では転職活動の進め方、そして一連のトラブルとその解決のために重要だったことを振り返ってみましょう。
その背景にはフリーランチのどのような対応と、Kさんの姿勢があったのでしょうか。

今回の相談者Kさん

■年齢:
30歳
■家族構成:
奥様とお子様1人の3人家族
■実務経歴:
10年
■経験社数:
3社
■悩み:
ブラック企業での労働環境に悩み退職、今後の進路決定のためフリーランチのキャリア相談を利用

経歴と目指したい職種とのギャップ
自己応募とフリーランチ経由での応募を使い分ける

タナカ:職務経歴書が完成し、これから本格的に面接を行うことになりますが、この段階ではちょっとしたトラブルが発生します。

そのトラブルについてお話をうかがう前に触れておきたいのですが、Kさんは今回「構造設計職への転向」と「CM業界での転職」の2つの進路を想定して転職活動を進めることになりました。

この進め方についての理由と経緯をここで少しうかがっても良いですか。

Kさん:まず構造設計職への転向についてですが、今までの経歴の中で耐震改修プロジェクトなど構造に絡む業務も担当し、建築の構造を考えることに興味を持ったのがきっかけです。とはいえ本格的な構造設計をしたことはなく、あくまで希望として、ほぼ経験0からのスタートです。

難しいと分かりながらもこの希望を相談したとき、フリーランチからは意匠設計も抱える大きな組織設計事務所への転職の可能性も提示してもらい、そこにアプローチするためにフリーランチ経由ではなく自己応募でも転職活動を進めることになりました。この判断については、未経験の分野へのチャレンジはエージェントを経由するよりも自己応募で進めるほうが、多くの企業にアプローチできるという考え方のもと自己応募を選択し、かつフリーランチには進展に応じて相談に乗ってもらうというものです。

一方で前職での経験から「もう絶対にCMはやりたくない」と感じていたCM業界については、初回キャリア相談を通して、実際のCM業界にはもっと可能性があることを明示していただきました。これがきっかけでフリーランチ経由でCM会社2社への応募を進めることになりました。

このような経緯から、どちらの可能性も追求するために自己応募、そしてフリーランチ経由でCM会社への応募という2本柱で進めることになりました。

聞き手はこう見る

フリーランチのキャリア相談では求人のご紹介も行なっておりますが、相談者が自己応募する際の相談にも対応しています。他エージェントとの掛け持ちに対してではなく、あくまでご相談者が自己応募で進めている転職活動の後方支援を行っていくというもの。
ご興味のある会社に合わせた最適な応募方法や、職務経歴書レビュー、面接対策、さらには内定時の条件確認など、支援内容は相談者によって柔軟に対応することができます。

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転職活動中に降りかかる保育園問題
焦りにより人材派遣会社との取り決めへ

タナカ:そのようにしてご自分の進路を検討しつつ、職務経歴書を完成させたKさんはいよいよ面接の調整に入っていくわけですが、ここでお子様が通われていた保育園に関わる問題が発生しますね。

内容としては、「定められた期限までに保育園課へ就業証明書を提出しなければ、保育園を退園しなくてはいけない」というものでした。

これは同時期に引越しも控えていたことから、その届け出を行った際に発覚したとうかがっていますが、発覚当日から提出期限までわずか2週間という非常にタイトなものでした。

上記の事象が転職期間に重なったこととスケジュールの厳しさから焦りは相当なものであったかと思いますが、当時の心境はいかがでしたか。
また、そこからKさんが初めに取ったアクションはどういったものだったのでしょうか。

「なんとしても子供の保育園退園だけは阻止しなくてはいけないと思った」

Kさん:そのタイミングで内定はおろか面接もしていない状況だったので相当に焦りました。初めのアクションとしてはまずフリーランチに現状を報告して意見を求めました。

そしてフリーランチとしてはどのような対応ができるか検討していただき、いくつかの対応策を提示していただきました。

結果としてはフリーランチ経由で応募予定であったCM会社2社に対して職務経歴書を送付し、2社との面接スケジュールを早急に調整にしていただくという対応でした。

また、当時の心境としてはフリーランチ経由でのCM会社に内定をいただける自信がなかったことから、同時に自己応募で人材派遣会社へアプローチをし、なんとか保育園課からの期日までに内定をいただき就業証明書を発行できる企業がないかを必死に探しました。

もともと自己応募は構造設計職への転向を視野に入れた方法でしたが、このときの心境としては「もう職種は問わないから、とにかく子供の保育園退園だけは阻止しなくてはいけない」という気持ちで動いていました。

タナカ:そのような経緯でフリーランチ経由でのCM会社と、自己応募での人材派遣会社との調整が進んでいくわけですね。

その結果として、はじめに自己応募でアプローチしていた人材派遣会社との面接を行なうことになります。そこで人材派遣会社の担当者から「いまこの場で署名をするならば、保育園に必要な書類をすぐに準備する」との申し出がありました。焦っていたKさんはその場で署名をし、人材派遣会社を選ぶことにしました。

これはKさんの独断で、フリーランチへは事後報告というかたちになったことから、当時は相当の焦りがあったことと察します。

ちなみに当時の人材派遣会社との約束ごとの内容はどういったものだったのでしょうか。

Kさん:人材派遣会社から提案された内容としては、就業証明書発行のためにまずは人材派遣会社へ正社員として入社するというものでした。取り急ぎ、保育園課から求められていた書類を揃えるための対応です。

それを踏まえたうえで、人材派遣会社への入社の意思表示を行うための書類に署名をした、というのが人材派遣会社とのやり取りです。

今思えばこの決断を自分で勝手にくだしてしまうまでに、フリーランチに相談を行うべきでしたが、なんとしてでも子供の保育園退園を避けなくてはいけないという焦りにより、まさに藁にもすがる思いでした。

保育園課の通達から転職まで

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現状整理と適切な対応
フリーランチの動きと今後のリスクヘッジ

タナカ:転職だけでも大変なことにも関わらず、お子様の保育園に関わる問題が発生したことは相当な負荷であったかと思います。焦りによる判断ミスが生じてしまうのも仕方ないことなのかもしれません。

そのような経緯から重要な判断をKさんのみで行なってしまい、フリーランチへの報告は事後となったわけですが、そのときのフリーランチの反応とそこからの動きを教えていただけますか。

「的確なアドバイスをもとに動き、トラブルの解決につながった」

Kさん:まず初めに「そのようなプライベートなことこそ、遠慮なく相談してくれて大丈夫なんですよ」という反応でした。すぐにフリーランチへ電話をするなど急なアクションを遠慮してしまったところがあったので、今振り返るともっと寄りかかれば良かったと感じます。

その後のフリーランチの対応としては「まずは落ち着いて、人材派遣会社とどのようなことを取り決めたのか整理しましょう。雇用契約が成立していない可能性も高いです。Kさんのキャリアで派遣社員の経歴はつけないに越したことはないので、できることはやってみましょう。」というものでした。

そこから少し冷静になり、焦るあまりにしっかり理解していないまま署名をしてしまった契約がどんな内容であったのか、そもそもそれは正式な雇用契約であったのかを確認していきました。そしてフリーランチの助言のもと取り決め内容を確認していった結果、正式な雇用契約はないことが分かりました。

また、フリーランチかたは今後想定されるリスクを潰すため、労働法を専門とする弁護士をあたっておくなどのアドバイスをいただきました。たまたま私の義兄が弁護士であったため義兄へも問題がないことを確認し、人材派遣会社との揉め事に発展したときの相談先として依頼することを視野に入れたり、リスクヘッジについては徹底的に行いました。

フリーランチ経由で面接を調整していたCM会社2社へは状況を事前に伝えていただき、この後の面接でも今起きている状況の説明がとてもしやすかったということもありました。

聞き手はこう見る

今回は転職活動中に、市町村の保育園課から就業証明書を求められるという事象が発生しました。お子様が通う保育園に関わることであったため、焦ったKさんは独断で人材派遣会社との話を進めてしまいます。
それを受けてのフリーランチの対応は、起きた事象に対する状況分析と、想定されうるリスクを考慮し弁護士起用を視野に入れた対応、そしてCM会社への情報共有と理解を得たうえでのとスケジュール調整というもの。まずは状況を整理しながら、Kさんのキャリアの未来も考慮し、柔軟な対応を行いました。

転職活動中にご家庭のことが重なるのは珍しくありませんが、今回の場合は特に年度末というタイミングであったことと、保育園に関わる手続きを転職前に行ってしまったことが問題でした。これは、一度退職をしてしまうと無職の期間が生じてしまい、保育園の退園を求められてしまうことがあるため。したがって、子育て中に仕事を辞める場合は、転職後に保育園の手続きを行うことが鉄則です。
そして、今回のような事案に対しては、まずは「状況を俯瞰」し「進行している問題に対する必要な救済」を行ない、「今後起こりうるリスクに対する準備」を固めるというプロジェクトをマネジメントするうえでは欠かすことのできない対応力をもつことが大切なのです。

執筆

田中 友貴

田中 友貴(タナカユウキ)

一級建築士、ライター。1988年岐阜生まれ。オフィス構築を手がける企業での施工管理・プロジェクトマネジャーを経て、エアラインの建築部門にて航空施設を主とした建築プロジェクトマネジャーを経験。今は「建築」の間口を広げるためにできることを淡々と。ドーナツをこよなく愛しています。