かんき出版
売り上げランキング: 227
この本は、現状でもメモをちゃんととっている方にも、自分のメモの取り方を改めるきっかけになる一冊になるでしょう。
著者・小西利行氏はコピーライターとして活躍されている方。
個人的に鮮烈に覚えている氏の仕事で言えば、日産セレナの「モノより、思い出。」キャンペーンですね。他にも様々なプロダクトのプロモーションを手掛ける他、イオンレイクタウンのクリエイティブ・ディレクションにて国際SC協会世界大会で日本初となる「サステナブルデザインアワード」最高賞を受賞。これは日本のショッピングセンター(SC)が環境への意識に目を向けた転機とも言えるでしょう。
ちなみに「エコ」を中心にしたSCの打ち出し方をまとめたメモも本書で見ることができます。ひとの意識を変える仕事とはこういうものか!という面白さがありました。
メモが大切なのは未来の自分がアイデアを大量に生み出すため
メモの取り方、まとめ方、思い出し方、さらに一つのメモからさらにアイデアへとつないでいくための手法までを簡易に紹介しています。まさに、「簡易さ」「すばやさ」に特化しているのが本書の特徴です。
一番感動したのが索引の簡易さ。こうやってメモを彩り組み合わせれば、アイデアは簡単に出てくるよね!という爽快感を感じます。巻末の「メソッド索引」を画像でご紹介するのが早いので引用いたします。
このように、本の仕掛けとしても「すばやさ」、つまり検索性やアクセスのしやすさに特に意識があるところに心地よさを感じます。それでいて、無駄な情報まで絵になっている感じはないちょうど良さ。このさじ加減は素晴らしいですね。
この本はメモの取り方をまとめた「まとメモ」、メモを組み合わせてアイデアを生み出す「つくメモ」、アイデアを相手に伝える「つたメモ」の3つのパートから成り立っています。
まずは「まとメモ」、メモの取り方から。
メモを取りたいと思う気持ちに少し逆行するのかもしれませんが、真面目にすべてを記録するのではなく、自分が使いたいと思う言葉のみを「未来メモ」として残すこと。
そして未来の自分が使えるような一工夫、過去のアイデアをいかにすばやく引き出すかを真剣に考えて、結果として非常に簡易な方法として現れていることが感じられます。
そして「つくメモ」、そのメモを組み合わせてアイデアをつくるための方法。
この本の中で取り上げられている言葉で、常に声に出していたい言葉があります。
「アイデアをつくるのは、才能でも、センスでもありません。実は、公式があるのです。」(p.149)
アイデアをつくる時になぜ効率が必要か。それを小西氏は「何百、何千というアイデアを生み出し、殺し、また生み出しながら毎日を過ごす」事によっていいアイデアを選び出すための基準を高め、さらに組み合わせによってさらに強いアイデアを生み出すことへとつなげるためだと語っています。
また単純に沢山のアイデアを出すことにとらわれるのではなく、自分で設定した最低限の基準をクリアし、一つの方向性をもったアイデアを量産する。そのための「公式」として「ハードルメモ」「三角メモ」「つなぐメモ」などを取り上げています。
個人的にはアイデア出しが中だるみするのが辛いので、そこを乗り越えるために「それは本当に、○○なのか?」と問いかける「ハードルメモ」を基準に置くことを心がけたいと感じました。
最後に「つたメモ」。作り上げたアイデアをひとに伝えるための手法ですね。
伝えるためのメモの構造化、図式として示す方法はメモ術を取り扱う類書でもよく見られます。そこでも分かりやすいネーミングや面白みを足し、いつでも使える引き出しをつくるところに小西氏の独自性があるように感じました。
簡易にすばやくアクセスできるメモをとり、いつでも組み合わせてアイデアを生むための土台をつくる。そのための心掛け、意識のあり方が心にくいほど詰まった本でした。
しかしここまでは簡易でしたが巻末の「たつメモ」、伊坂幸太郎さんとの対談はまさに達人向け?これまでのメモの取り方、まとめ方、伝え方と対比して、世間に届く作品を量産する人気作家がいかにメモを活かしているかと言うことを推理する面白さがあるように感じます。
ぱっと見本人しか分からないメモの極意がいつか分かる日がくるのでしょうか。このパートは繰り返し読む楽しみがあると思います。
自分に見合ったメモの取り方、活かし方を考えるきっかけになる一冊だな、と感じました。
「フリーランチな働き方」にどう役立てる?
短時間で様々な要件に対しアイデアを出すための方法論をまとめているので、複数の会社に属して働く際にキリ良く思考を切り替えて考えるためにも役に立つはずです。
また、事業を進めるためのエンジンとして様々なアイデアをまとめ、未来の仕組みを作り出すための手法が書かれていると感じます。ぜひ読んでみてください。
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