個人事業主が開業届の提出を忘れたときの対処法を税務署に聞いてみました

開業届という存在をご存知でしょうか。開業届とは、フリーランス(個人事業主)となって働く際に税務署に提出するよう定められているものです。

この記事では、開業届の提出時期や提出のメリット、提出を忘れてしまった時の対応などを、税務署へのヒアリングもふまえて分かりやく解説します。

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開業届とは

先ほど説明しましたが、開業届とは、フリーランス(個人事業主)となって働く際に税務署に提出するよう定められているものです。

個人事業を開業してから1か月以内に事業所・事務所の所在地の各税務署に提出するよう定められています。
言い換えれば、開業届は、提出する日以前の1か月以内のいずれかの日に開業届を設定する書類、ということです。

ただ、開業届を出さなくてもフリーランスとして仕事が出来てしまうため、忘れるどころか、仕事仲間に指摘されて初めてその存在に気が付くということもあるかと思います。
では、なぜ開業届を出すべきなのか?メリットをご紹介します。

開業届を出すメリット

開業届を税務署に提出して個人事業主として登録されると、いろいろなことが出来るようになります。

代表的なものをまとめると、
・青色申告で確定申告ができる(所得税の青色申告承認申請書の提出が認められる)
・赤字の繰り越しができる
・屋号で銀行口座が作れる

どれも個人事業主として働くときに役立ちますが、特に、青色申告という方法で確定申告ができることが重要です。

開業届の提出忘れに対処する男性

青色申告とは

青色申告とは、個人事業主が行う確定申告のやり方のうちの一つです。

なぜ青色申告で確定申告を行うことが重要なのかというと、青色申告は、白色申告に比べ、65万円の特別控除があるため、所得税や住民税などの課税対象金額を小さくすることができるためです。

青色申告をするために

青色申告をするためには、「所得税の青色申告承認申請書」という届出を提出することが必要です。
私は次の確定申告は青色でやりますよ、という申請が必要ということです。

また、「所得税の青色申告承認申請書」の提出には2つ条件があります
・開業届を提出していること
・決まった時期に提出すること

決まった時期というのは、①『青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで』または、②『開業日から2か月以内』です。

開業届/青色申告承認申請書の届出の提出を忘れてしまったら

一口に忘れたといっても、まとまった収益が出始めて改めて開業届の提出を考えた人、もしくは、今までは白色で確定申告をしていたけれども次からは青色で確定申告を行いたい、など、いろいろな場合があると思います。

ここでは開業届と青色申告の2つに注目して、それぞれの提出を忘れてしまった時の対処法を場合分けして解説します。

今までは白色申告だったが、途中から青色申告での確定申告に変更したい場合

この場合、開業届はすでに提出されていることになるため、②『開業日から2か月以内』の期間での青色申告承認申請書の提出が不可能です。
そのため、①『青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで』の期間での青色申告承認申請書の提出が必要です。

開業届と青色申告

初めて収益が上がった時から1か月以降に開業届を提出することになってしまったとき

初めて収益が上がった日(=実際の開業日)とは別に、登録上の開業日を定めることになります。

そして、この場合も、開業届を出した年の分から青色申告で確定申告が出来ます。
しかし、登録上の開業届と実際の開業日が異なるため、実際は開業していたが登録上は開業していない期間が生まれてしまいます。この期間の収入・経費は、次の青色申告に計上できるのでしょうか?

開業届と青色申告

開業前の売上や経費の計上について税務署に実際に聞いてみた

実際に税務署に電話して聞いてみました。
今回は東京の電話相談センターに問い合わせました。他の自治体や細かい状況によっては回答が異なる可能性もありますので、ぜひご自分でも問い合わせてみてください。

質問.開業日以前の収入は計上できるのか

できます。
開業日以前に売上がたつのは自然なことですので、開業した年の1月1日から計上してください。

質問.開業日以前の経費は計上できるのか

10万円以下なら、開業日以前のものでも計上できます。
10万円を超えてしまうと、経費としては計上できません。

との回答でした。

開業届と青色申告

このように、もし開業届・青色申告承認申請書を提出し忘れてしまっても、気付いたときに諦めないで提出すれば、その年の確定申告も青色申告で提出できる可能性があるのです。

開業届の提出を忘れてしまっても諦めないことが大切

このように、開業届の提出が実際の開業日を過ぎてしまっても、諦めずに対処すれば無駄を最小限に抑えられる可能性もあることが分かりました。
もし開業届の提出が遅れてしまっても、焦らずにまずはお近くの税務署に問い合わせてみるのをおすすめします。

今回の内容をまとめると、
・個人事業開業届を提出すれば、青色申告などの多くのメリットが受けられるようになる
・青色申告をするためには開業後2か月以内に提出する青色申告承認申請書が大事
・もし忘れてしまっても、気付いたときに早めに対応を心がけよう

ぜひこの記事を参考にして、開業届の提出を検討してみてください。

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