【初めての確定申告】納税はどれだけ稼いでから行うものなの?

もう会社勤めは辞めて、個人事業主(フリーランス)になって稼いでいく!

この記事を読んでいる人の中には、そんなことを考えている人もいるのではないでしょうか。いや、既に開業届の提出を済ませていて、「さあ、働くぞ!」と意気込んでいる人もいるかも知れません。
会社に属さずに、個人事業主という働き方を選択すれば、行う仕事内容についてはもちろん、運転資金や売り上げ(儲け)など、お金についても自分でしっかりと管理しなければいけなくなるのは必然です。

特に開業して最初の一年目となると、これまでは給与をいただいていた、属していた会社が勝手に行ってくれていた「納税」について悩むことが多くなります。
どうやって納税を行えばよいのか?また、その金額はいくらとなるのか?いくら稼いだら納税を行わなければならないのか?

税金について少し勉強した、調べた方であれば「青色申告」というものが良い、どうやら節税にもなるらしいという情報には行きつくものです。しかし、具体的にどうすればよいのか(どういう帳簿をつければよいのか)どこまでが経費として認められるのか…という疑問も浮かんでくることでしょう。

そんな方に確定申告を知ってもらうべく、この記事では私の経験や得た知識を織り交ぜ、個人事業主が納税のために行うべきこと、準備しておくべきことをしっかりとご説明いたします!
この記事が開業一年目のあなたの納税をスムーズにこなす、これから個人事業主になる方の不安を取り除く一助となれば幸甚です。
(ちなみに私は個人事業主となって4年目を迎え、毎年「青色申告」を自身でしっかり行っています。一度も税務署からの調査、疑いをかけられことがないのが自慢です。)

確定申告とは?

そもそも確定申告とは何か?
確定申告とは、1年間に得た所得と、その所得を得るためにかかった経費、控除される額を引いた分から所得税を計算して納税することを言います。
基本的には納税者(ここでは個人事業主)が申告を行います。

また、確定申告には色々な控除を受けることが出来る青色申告と、帳簿などが必要ない白色申告の2種類があります。

1-1.青色申告とは

青色申告とは、事業における日々の金銭の取引を数種類の所定の帳簿に記帳し、その記帳に基づいて申告を行う事で税金の面でいろいろ有利な特典を受けることができるものです。

住民税などの他の税金は基本的に通達された額を支払わないといけない賦課課税方式なのに対し、所得税は申告課税方式を採用していますので、青色申告の場合は事業を行うために必要な資産や貸付金などの負債も含めた財務状況を詳細に報告する、帳簿に正確性が求められるのです

もちろん虚偽報告はいけません(嘘がバレると追徴課税を課せられることもありますよ。)

また、青色申告を適用するためには、事前に承認申請が必要となります。

では、どのタイミングで承認を行えばよいのか?開業届けを出してから二カ月以内であればいつでもよいのですが、税務署に何度も足を運ぶのは面倒ですから開業届と一緒に青色申告申請書を提出することを私はおススメします(私も開業届と一緒に青色申告申請書を提出しました)。

※参考
「所得税の青色申告承認申請手続(国税局)」

1-2.白色申告とは

白色申告とは、納税者は収支を報告するだけで課税対象となる所得を申告することができる制度です。申告の為の様々な帳簿は必要ないため、事前準備も手続きも簡素に終えることが出来ることがメリットです。

しかし、青色申告のように帳簿をつける必要がない代わりに、税金の面でのいろいろ有利な特典は受けることが出来ません。即ち、青色申告よりも多くの税金を支払わなければならないことになります。
金額に頓着しないぐらいに稼いでいるというのであればよいですが、所得税は稼げば稼ぐほど税率が上がるのものです。いざ、税金を納めるときにその額の大きさにびっくりする、すぐにはそんな金額を用意出来ないなんてこともよるあることです。

これらを踏まえて、私は個人事業主であれば是非青色申告を行う事をおススメします!
特に開業して一年目は想定外のことでお金を使ってしまうこともあるでしょうし、何よりも自分の事業における資金の流れをしっかりと把握することは大事です。それが節税に繋がるというのであれば、やらない手はないと私は考えます。

フリーランスの男性が確定申告を行っているイメージ

青色申告のメリット

更に言えば、青色申告のメリットは主に以下の4つのポイントがあります。
一つずつ解説していきます。

2-1.課税所得の特別控除の金額が増額される

先ずは一番のメリット。青色申告は実際の所得から控除される額が増えることで課税額が安くなるということです。

例えば申告による特別控除以外を計算した課税所得額が400万円の方の場合、白色申告の場合は10万円の特別控除となり、課税所得額は390万円として税金額が計算されます。
この場合の所得税額は342,500となります。

これに対して、青色申告では65万円の特別控除が受けられるので、課税所得額は335万円となります。
この場合の所得税額は232,500

つまり、青色申告と白色申告では差し引くと11万円という大きな差が生まれるのです。

もちろん収入額によって税額の違いは出てきますが、例だけを見ても結構な額の違いとなって表れることが理解できるのではないでしょうか?自分で帳簿をつけて管理することはかなりの手間ではありますが、こんなに大きな差となるのなら青色申告をやろうと思いませんか?
(税理士さんを雇ってお任せするのも一つの方法ではあります。)

※参考
「No.2260 所得税の税率 に課税所得に対する所得税率」

2-2.青色事業専従者給与

次に、青色事業専従者給与
青色事業専従者給与とは、家族が課税申告のための経理に専従している場合に支払う給与は、必要経費として認められることです。

もちろん、これも控除対象となります。

2-3.純損失の繰越控除

純損失の繰越し控除とは、個人の青色申告者の場合、純損失を3年間繰り越すことができる制度です。

つまり一年目に赤字となった場合でも、その損失を次の年、そのまた次の年に繰り越すことが出来るのです。二年目、三年目も控除対象となるということです。

2-4.少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例とは、30万円未満のものを購入した場合、分割せずに一括でその事業年度の経費にすることができる制度です。
つまり、収入が多い年は30万円未満のものであるならば資産を投入した方が税金がかからない、その分が控除されるということです。

例えばパソコンは4年での減価償却として計上するのが基本だと言われますが、30万未満のものであるならば分割せずに一括で経費にしてしまったほうがその分の控除対象額も大きくなるわけです。

以上のように、青色申告には多くのメリットがあることがご理解いただけたでしょうか?
(次回はもう少し詳しい話を、青色事業専従者給与と少額減価償却資産の特例についてご説明します。)

所得が年20万円以下なら申告不要?

青色申告の説明を一通り終えた、所得税の考え方を踏まえたところで、この記事のタイトルにもなっている「納税はどれだけ稼いでから行うものなの?」かについて大事なことをご説明します。

申告は個人事業主はもちろん、サラリーマンで副業を行った場合であっても必ず行わなければならないこと、例え所得が1円だけであったとしても必ず行わなければならないことです。所得がマイナスであったとしても必ず行わなければならない、金額の大きさは全く関係ないのです。
(むしろ所得がマイナスの場合は、税金が戻ってくることもあるのです。)

しかし、多くの方が「所得が年20万以下ならば申告しなくてよい(税金は払わなくてよい)」という大きな勘違いをしています。
確かに所得税は年間20万円以下なら非課税となり、確定申告も不要(他の要件にて確定申告する場合は必要)ではあるのですが、住民税についてはすべての収入を合算して計算するので、収入の額に関わらず(20万円以下でも)申告が必要です。

つまり、個人事業主は青色、白色申告を行うことで年間20万円以下でも住民税について計算される(役所に通知が行く)のですが、副業の場合は属する企業から支払われている税金には副業分の所得が含まれて計算されていないため住民税を正しく支払っていない、副業分は申告漏れということになり、追徴課税がなされることもあります。

会社に副業がバレたくないのであれば、なおさら自分で役所に出向いて住民税を支払うことが必要ですよ。
(副業は住民税からバレることが多いのも特徴です。なぜならば、住民税の不払いの場合、自身に連絡が行くのではなく所得税を払っているところへ通知される、すなわち会社へと連絡が行くからです。)

大切なのは自身の財務を把握すること

青色申告は税金が控除されるということだけではなく、自身が財務状況を把握するという意味でも取り組んでみることに大きな意味があると私は考えます。

私の会社員時代を思い出してみても、自分の取り組む部署の収支、儲けについては考えていても、自分がいかに税金を支払っているのか(会社がどれだけ税金を支払っているのか)には無頓着でした。
個人事業主となり自分の事業と生活が一体となったいま、お金の使い道として生活だけを考えるのではなく、仕事を行っていくための資金としても考えていかねばならないことを身をもって知った次第です。

そこで次回は、どのような手順で申告、運営をしていくと効率が良いかを知ってもらうべく、青色事業専従者給与少額減価償却資産の特例についてもう少し詳しく説明します。
お楽しみに。

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