設計事務所の管理建築士に必要な実務経験や業務経歴証明書の作成方法

設計事務所を開設するためには専任の管理建築士を置くことが求められています。管理建築士になるためには、3年以上の実務経験を経たうえで、管理建築士講習を受講する必要があります。

この記事では、管理建築士講習を受講するために必要な3年以上の実務経験を証明するための「業務経歴証明書」について説明します。

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実務経験を証明するには、第三者による証明が必要

管理建築士講習を受講するために証明する必要のある実務経験ですが、ただ自分で証明書を書くだけでは認められません。
下記にあげる「第三者」による実務経験の証明が必要になります。

1)実務を行った当時の建築士事務所の管理建築士
2)現在所属する建築士事務所の管理建築士
3)上記が困難な場合は、所属している設計事務所の上司や同僚、事務所外の建築士

実務経験を証明してもらう人は、原則として1)2)管理建築士であることが求められます。
管理建築士の証明が取れない場合に限り、3)所属している設計事務所の上司や同僚、または外部の知人などの一級、二級、木造の建築士による証明でも構いません。

このとき、一級建築士としての業務経歴を証明するために、二級建築士や木造建築士に証明をお願いすることも可能です。

業務内容を証明する範囲を区分し、複数の建築士による証明を受けることも可能です。複数の建築士による証明を受ける場合は、次に説明する業務経歴証明書をそれぞれ別々にする必要がありますので注意してください。

管理建築士の手続きのイメージ

業務経歴証明書の記入内容

業務経歴を証明するために、上述した第三者による証明を「業務経歴証明書」として提出する必要があります。

業務経歴証明書には、次の項目を記入しましょう。

1)管理建築士講習受講者氏名(自署)
2)勤務先名
3)業務内容(設計、工事監理など)
4)業務経験期間(開始年月・終了年月・期間)
5)業務経験合計期間

6)第三者証明者署名(自署、押印は不要)
7)証明者の建築士登録番号
8)証明者の建築士登録年月日

業務経験期間を算出する際、異なる業務が重複した期間がある場合は、重複分を業務経験期間としては算入できませんので注意が必要です。

長期療養、行政処分等により業務をおこなっていない期間も算入できません。

業務経験期間 算入方法の例

勤務先名 業務内容 開始年月 終了年月 期間
◯◯設計事務所 設計 2013年4月 2013年12月 8ヶ月
同上 設計および工事監理 2014年1月 2014年7月 7ヶ月
同上 設計 2014年8月 2015年7月 12ヶ月
同上 設計および工事監理 2015年7月 2016年5月 10ヶ月
8+7+12+10 -1 ヶ月
計 36ヶ月=3年

※2015年7月に1ヶ月間重複しているため、-1ヶ月しています。

その他、業務経歴証明書の注意点

管理建築士講習を受講するために証明が必要な実務経験は「3年以上」ですので、たとえば実務経験が10年あったとしても、直近の実務内容を3年間さかのぼって記入するだけで大丈夫です。

業務内容が受講資格として認められない場合もありますので、念のため4〜5年程度の業務内容を記入しておくことをおすすめします。

先に書いたように、複数の建築士による証明を受ける場合は、業務経歴証明書をそれぞれ別々にする必要があります。

このほか、業務経歴証明書が複数枚になった場合は、それぞれの業務経歴証明書に、それぞれの第三者証明者署名が必要になります。2枚目以降の業務経歴証明書には署名のみで、建築士登録番号などは必要ありません。

業務経歴証明書が複数枚になった場合の業務経験期間は、証明書ごとの合計のみの記入で大丈夫です。総合計を記入する必要はありません。

管理建築士になりたくて、業務経歴証明書の業務経験期間などで虚偽の証明をおこなった場合は、建築士として処分を受けることがありますので、注意しましょう。

建築士登録から最短で管理建築士になるために

建築家として独立するために管理建築士になる方も、所属事務所の次期管理建築士を目指す場合も、組織設計事務所の部署長として管理建築士が必要となる場合も、可能な限り早く取得することが必要となります。

フリーランチでは、建築士登録から最短で管理建築士になるために、これまで建築や管理建築士に関する解説記事を執筆してきました。

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