実は会社は副業を禁止できない!給料が少ない建築業界で稼ぐ手段を増やして乗り切るコツ|建築士のための労働基準法入門

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今回のテーマは、ズバリ「副業」。
建築業界・建設業界で働く中でも空き時間にできる手軽な副業について、私自身の体験談を交えて解説します。

設計事務所やゼネコン、工務店などで働いていると、景気の動向によって仕事量の増減が給料に影響することがあります。特に規模の小さな会社や設計事務所では、一つの仕事が取れるか取れないかが会社の経営を左右し、社員の給料も変動します。

入社する時には給料が低くてもやる気があれば何とかなる…と思っていても、実際にかかる生活費や出費を体感してはじめて、生活の苦しさを感じることもあります。

また、冠婚葬祭などの突然の出費や一級建築士をはじめとした資格取得のための資金など、自分の生活費だけに限らず急にお金が必要になることがあり、現状の給料ではやりくりできなくなる場合もあります。

独立や家庭・子育てを考えるなら、なおさらです。そんな時に、本業の会社からの収入だけに頼らず上手に「副業」を活用して、収入を確保することを考えてみてはいかがでしょうか。

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 本来会社は社員の副業を禁止できない

最近は副業を明確に認める会社が少しずつ現れてきていますが、社員の副業を快く思わない会社がほとんどです。

しかし、もしも就業規則で副業禁止が明記されていたとしても、本来は就業時間以外の時間は何をしていても労働者の自由であるという原則があります。民法にも労働基準法にも、就業時間外の副業を禁止する規定はなく、裁判においても就業時間外に副業をしたことによって会社から受けた懲戒処分を無効とした判例もあります。

副業の時間が長時間に及び本業に支障を来す場合や、同業他社で働くことにより本業の業績に悪影響を及ぼす場合といった会社の秩序を乱す行為に気を付ければ、実態としては働く側が有利になるよう制度がつくられています。

その事を念頭に置いて、ここからの解説を読んで考えていただければと思います。

 建築会社に勤めた私の副業経歴書

私自身、以前建築系の会社で勤めていた時に、副業で生活費をまかなうという経験をしました。その中で体験したことをまずご紹介します。

 マイペースでスキルも身につくテープ起こし

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私が建築施工のマネジメントを中心に仕事をしていた時ですが、リーマン・ショック後一時建設需要が非常に低くなったために会社内で割り振られる仕事が無くなるという状況に陥った事がありました。

基本給は当時で23万円から17万円まで、約3割下がってしまい生活がかなり苦しくなったので、その時初めて何か副業をしなければと思うようになりました。

その時は幸い知り合いに雑誌編集者がいたため、仕事をしながら在宅でできるテープ起こしの仕事を割り振ってもらい、それで給料が減った分をまかなうことができました。テープ起こしとは、基本的にインタビューの音声素材を送付してもらい、それを文章として書き起こして送り戻すという作業です。

当時はシステムとしてあまり整備されていませんでしたが、現在は近くに編集関係の仕事をしている人がいなくても、テープ起こしや簡単なライティング作業であれば「ランサーズ」や「クラウドワークス」などのクラウドソーシングサイトで多数募集されています。これらの作業は副業としてとても敷居の低いもので取り組んでいる方も多いです。

クラウドソーシングサイトの仕組みについては、「ランサーズで名刺を格安で発注できる!提案を集める4つのポイント」にも詳しく説明していますので、こちらもご覧ください。

報酬としては、テープ10分あたり1,000円という相場になっているので60分のインタビューであれば1本6,000円という事になります。私の経験で言えば、建築の施工管理の仕事を終えてから約60分のインタビューを月に5-6本納品していたので、副業での収入は月あたり30,000円~36,000円ほどでした。

スピードとしては1時間作業してテープ10分程度という感覚だったので、時給にすれば1,000円ぐらいのものだといえます。これが最初のうちで、だいぶ操作に慣れてきた頃には時給換算で1,200円ぐらいの感覚になっていました。

なにより施工管理の仕事で数ヶ月単位で現場の近くに常駐するという仕事をしながらでも、インターネット接続環境さえあればできる副業で、仕事終わりからでも自分のタイミングで進めることができるというのが丁度良かったわけです。

また収入面以外でも雑誌のインタビューをいち早く聞きながら書き起こせるというのは内容によっては面白く、聞き取れない言葉を探る度に専門知識の掘り起こしになることから知識の幅も広がるという利点もありました。

さらに雑誌のライティングについての基礎を学ぶことができたことから、フリーのライターとして活動するための最も基礎になる部分を積むことができたのが現在非常に役に立っています。

 空いた時間に手早く収入が得られる深夜コンビニバイト

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また、他に行った副業としてはコンビニで深夜アルバイトをした事もありました。これは富山市内で、会社が運営する宿泊施設の管理をしていた時にやっていた仕事です。このアルバイトを始めた理由としては、当時の働き方の事情がありました。

当時の仕事が毎日昼13時から夜21時まで、という変則的な定時制で働いていたのもあり、基本は翌日休みになる日の夜が空いていたので夜22時から朝8時までの10時間(うち休憩1時間)働いていました。その時は週2回で時給950円(深夜1,100円)だったので、月あたり6~7万円の収入になりました。

地方都市で暮らす中では、これだけのプラスがあることで生活にかなり余裕を持つことができるようになりました。

コンビニでのアルバイトを経験してみて、体力的に無理のない範囲でできれば簡単に収入を得られるという手軽さがとても良かったと感じています。自分の体調と本業の労働時間ときちんと区別をして、自分が必要な金額を得ることが大事なんだと感じました。

また、コンビニから見える社会の景色は、自分にとって働くとは何かという事を考えるいい材料でした。

東日本大震災が発生した直後、ほぼ空になった店内で何もすることがなくぼんやりしていたり、求人が思うように行かず持病を抱えながら店に立つオーナーの姿だったり、深夜決まった時間に現れる人たちの生活の謎だったり……やはり普段の生活では感じ取れないものがそこには沢山ありました。収入面も含めて、価値のある体験でした。

ここまで「テープ起こし」と「コンビニでのアルバイト」を取り上げましたが、それぞれ時間の空いている時に自分のできる範囲でできる仕事でした。先ほど取り上げたクラウドソーシングサイトやインターネットでのアルバイト求人などでも十分に探すことができますので、自分が活かしたい空き時間を見直した上で、なるべく簡単に働ける仕事を探してみましょう。

 副業をする上で気をつけたい、会社との関係

住民税を「普通徴収」にして副業が気づかれないようにしておこう

本業の労働時間外で副業をすることは働き手の意思次第で自由であり、法的にも問題がないとはいえ、周囲との関係を考えると副業していることはなるべく会社に知られないようにしたいところです。

あなたが副業をしていることに会社が気づく場面は、実際に働いているところが発見される他にもあります。それは、給与以外の収入が増えていることに気づかれる場面です。
特に住民税は会社の給与から天引きされるのですが、その額面の変動によって副業をしていることが会社に気づかれてしまう場合が多いようです。

なるべく気づかれないようにしたいということであれば、確定申告の際に副業で得た分の住民税については自ら払い込む、「普通徴収」と呼ばれる方法を取ることができます(ちなみに給与から天引きする方法を「特別徴収」と呼びます)。こうすることによって、収入の増加を会社に気づかれないようにすることができるのです。

所得税の取り扱いは働き方によって変わってくる

また、所得税の取り扱いは副業の種類によって少し変わってきます。例えば時給で働くアルバイトの場合は会社勤務と同様の「労働契約」ですが、テープ起こしなどの仕事は「業務委託契約」という契約になります。ここではこの2つの契約形態についてご説明します。

 労働契約

まずアルバイトの場合は会社での勤務と同じく労働契約という形態で、労働の対価として給与を得ます。その給与からは所得税や場合によっては社会保険料が天引きされていて、会社と同様年末に年末調整の手続きが必要になります。

アルバイトに対しては年末調整の手続きが疎かになる会社もあるようなので、11月に入った時点で年末調整についてアルバイト先に問い合わせるようにしましょう。

 業務委託契約

テープ起こしの場合、仕事の契約としては業務委託契約という形態になります。「数十分のテープを聞き取りそれを文章として入力する」という他者の業務の一部分を代行するという事です。
この場合、支払われる報酬からは所得税が源泉徴収と言う形で天引きされています。

業務委託契約での収入は手元に入る際に、一定の税率が源泉徴収された状態で支払われています。

この時源泉徴収される所得税率は10.21%(復興特別所得税を含む)ですが、本来支払うべき所得税率は1年間の所得額によって変わってくるものなので、その1年間の所得額を税務署に申告する「確定申告」という手続きを行わなければいけません。

この時大事なのは給与と副業による収入だけではなく、収入を得るために必要な経費も申告することによって、収入からその経費分を差し引いた金額が所得税額を決めるための「課税所得」として取り扱われるという事です。つまり、経費をきちんと申告することで課税所得は低くなり、所得税額がお得になるのです。

なお2016年現在の所得税率計算で言えば、実質的な所得税率が10.21%になる場合は控除や経費を除いた課税所得の合計が4,366,700円となります。つまり、この金額以下であれば源泉徴収された所得税の一部が返還される計算となります。少し手間はかかりますが、払い過ぎている所得税を取り戻すことも可能です。

 収入減による精神的負担を乗り越えるためにも副業は重要

会社の経営状態が厳しい時などに、収入が削減され、無収入となることも現実には起こりえます。最低限の生活費しか稼ぐことができない給料が安い設計事務所で働いていて、急に物入りになることもあるでしょう。

完全に追い込まれて身動きができなくなる前に、手軽にできる副業をいくつか手札として持っておくことがとても効果的です。

苦しい時には収入面でも役にたち、今後の自分の仕事を考える上で重要なきっかけも得られる副業はやってみる価値が十分あります。身近なところから簡単にできる副業をぜひ探してみてください。

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