「なぜ地方で暮らしたいの?」という問いを大事にしよう|地方型フリーランスの働き方(1)

 

地方で働く

前回「地方型フリーランスとして働くために(その0)」から始まった、フリーランスとして地方で暮らしながら自身の技量や商品を売り込むためにはどうしたらよいか、その準備段階から考えてみようという企画です。これを書いている私自身がフリーランスとして暮らすための準備段階として日々を過ごしていますが、その中で感じる体感をお届けしたいと思っています。

さて、前回のエントリではこれから考えたいテーマについて網羅的に上げてみました。

もう一度おさらいすると、

・地方型フリーランスとして目指したい働き方はなにか?
・初期段階でどのような収入を見込むことができるか?
・ステップアップの仕方はどのようにすればいいか?
・縁もゆかりもない場所でどうやって人の繋がりを作ってきたのか?
・人の繋がりをつくる際の、地方ならではのリスクとは?
・なにか参考にした手法はあるのか?
・計画性を持って地域で住もうと考えていたのか?

と言ったところです。

しかしその前に一つ考えたい事があります。

それは、

「なぜ地方で暮らしたいの?」という問いを大事にしよう

という事です。

特に地縁、血縁のない地域に暮らす事を決断する際にはある程度ここに固まった答えがなければ、収入や立場上での危機に陥った時に大変なことになってしまうと危惧しています。

その問いを考えるときに大事な軸のひとつとして、「田舎肯定」「都市否定」か、どちらなのか?という事ではないかと思っています。

田舎肯定と都市否定とでは移住に対するスタンスが大分違います。

田舎肯定型というのは、多少ハードでも地域に住む人たちと交流し、しきたりや生活様式を合わせて生活したい……というタイプの考え方ととらえていただけるとよいかと。「地域おこし協力隊」は当初、いや今も大体はそうかな、田舎肯定的な考え方のもとで「地方に入り込む」というキーワードをもって都会の若い人たちを地域に送り込んでいます。

都市否定型というと、特に社畜的な働き方に疲れた人たちや都会的な見栄の張り合いに飽きてしまった人たちが都会を脱出したいと考える方たちです。地方暮らし界隈では有名なブログがありますね。なにもそこまで否定しなくても、っていうかあなたは都市型人間でしょって常に思っていますが。

両極端のスタンスをとるとわかりやすく、キャラクターとしては立ってきますが何分パイは少ないです。そこにこれからフォーカスするのは相当過激なスタンスを取らなければいけないわけで、本気でやれんのか!?それで食べていくつもりなのか?という事を自問し続ける必要はあるでしょう。

というわけで、地方で暮らしたいと何となく考えている方は

都市で日常を送る事の意味は見いだせないけれど、さりとて生活インフラはしっかりしているほうがいいし、積極的に田舎暮らしをしたいわけではない。

という層が非常に多いのではないかと思います。

昔は田舎憧れが先行している人が多かったのだと思いますが、最近はこういう立場からゆるく地方移住を希望する人が増えているのだなと感じます。

畑作業や魚釣りをするにしても、自給程度。地域で自然に触れる趣味を楽しみ、あとは都市でやってきた仕事を生かしたなにかをやろうという感覚です。

先日仕事で「移住・交流地域おこしフェア」という総務省の外郭団体(JOIN)が主催する大きな展示会に行ってまいりました。

私が住んでいる富山県氷見市も結構アピールをしていたのですが、あのような会場に集まる人たちの関心は「都会からアクセスしやすい田舎」「ずっと住むならば暖かかったり景色がよかったり、安心して引きこもれるところ」にあるのだなと感じる事ができて非常に参考になりました。

その点でいえば富山には昨年北陸新幹線が開通するなど、インフラとしてだいぶよくなったのではと考えていましたが、圧倒的に長野や山梨、千葉、ギリギリ北関東、そうでなければ南の方…といった選択をされる方が多く、なるほど地の利だけではない魅力を引き出さなくてはと感じさせられる良い機会になりました。

しかも、都市と地方を結ぶためには強固なインフラが必要です。地方を豊かにするためのインフラ維持というのはとても重要なテーマになってくると思っていて、そのためには地域全体として結構稼がなくてはいけないのではないかという事に思い至り、根がナマケモノの私はかなりショックを受けました。これから移住を検討する人は、今のんびりできても後々どのような状況になるのか、その点も頭に入れた上で考えなくてはいけないと思います。

なぜ地方で働きたいの?

地方に暮らしながらフリーランスとして働ける人は、ある程度都市から資金を持ってくることができる人であるので、その点でいえば重宝される人材といえるでしょう。しかし、それと同時にどれぐらい地域共同体に合わせて暮らさなくてはいけないのか、そこを見極めなければ生活そのものが負担になることも考えられます。

自分自身の生活スタイルを見返して、自らの志向が田舎肯定型なのか都市否定型なのかを知り、その上で住みたい場所の風土的なものも感じ取る必要がある。

この段階にはそれなりに時間をかけたほうが良いと感じています。直感は大体正しいのですが、その直感にいたるまでの準備運動をしましょうという事です。

その意味で私自身はどのように準備期間を置いていたのか、それについては次回以降お話ししたいと思います。

都市に否定的だった私が田舎を受け入れて移住するまで|地方型フリーランスの働き方(2)