奨学金の返済を猶予・減額できる!?奨学金返還の救済措置を活用しよう

多くの人が活用している奨学金。昨今、奨学金を返せない人が増えているそうですが、建築・デザイン業界も例外ではありません。就職活動に失敗したり、知り合いの紹介でアトリエ事務所やデザイン事務所に就職するなど、収入が低いとき、奨学金の返済はとても大変です。そんなときは、奨学金返済の救済措置を活用しましょう。返還猶予や減額返還制度を活用して、計画的に奨学金を返済していきましょう。

奨学金返済の救済措置の種類

日本学生支援機構の奨学金返済には、2種類の救済措置が用意されています。

①減額返還制度
②返還期限猶予

それぞれの奨学金返済救済措置を詳しく見ていきましょう。
救済措置を知っているか知っていないかで、精神的にも大きく変わってきますよね。救済制度を知っていれば、毎月の生活の不安も解消されるかもしれません。

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①奨学金の減額返還制度の適用条件と解説

減額返還制度とは、1回あたりの奨学金返済額を半分に減額して、その分返済期間を最長で10年間伸ばすことのできる制度です。
毎月の返済額が減額されるので、無理のない範囲で返済を続けることができます。

減額返還制度が適用される条件は?

奨学金返済の減額返還制度を活用するためには、次の条件をクリアしている必要があります。

1)年収が300万円以下であること(フリーランス・個人事業主の場合は売上から経費を引いた所得が200万円以下)
2)届け出を提出した時点、および審査の時点で奨学金の返済を延滞していないこと
3)本人名義の振替口座(リレー口座)が奨学金返済方法として設定されていること
4)月払いで奨学金を返済していること
5)個人信用情報の取り扱いに関する同意書が提出されていること

注意が必要なのは2)の条件です。奨学金返済が延滞してしまってからでは救済措置を活用することができません。延滞してしまう前に、すみやかに届け出るようにましょう。ただし、奨学金返済の延滞は社会問題になっていますので、すでに延滞してしまっている人も諦めずに、まずは相談窓口に電話して相談してみましょう。
また、3)のリレー口座については、「奨学金の返済開始日とリレー口座の開設などの必要な手続きや返済額を知る方法まとめ」を参照してください。

減額返還制度で確認しておくべきポイント

奨学金の減額返還制度は、返済期間が延長されることになりますが、第二種奨学金における利息については国庫が負担してくれるため、返済の総額は変わりません。期間が長くなっても、利息を多く払う必要がないのは安心ですね。

また、次の3つすべてに当てはまる人は、減額返還を願い出るとき、証明書の提出が不要になります。

・平成27年12月以降に卒業・退学した人
・卒業、退学後にはじめて減額返還を願い出る人
・平成29年6月までに願い出る人

つまり、今年3月に卒業した新卒者が来年の6月までに願い出れば、証明書の提出なしで減額返還を申請することができます。
この「証明書」とは、住民税非課税証明書や所得証明書、市・県民税課税証明書などにあたります。これらの証明書類を提出しないで申請できるので、申請がとても楽になりますね。

もしも減額返還適用中に奨学金返済を延滞してしまったときは、延滞してしまった時点から減額返還の適用を取り消され、減額される前のもともとの返済額に延滞金を加えた額を返済する必要があります。返済がむずかしいから減額してもらっていたのに、延滞してしまうとより厳しい返済が待っています。延滞してしまわないよう、しっかりと返済できるよう計画を立てましょう。

奨学金返済の救済措置を利用する人のイメージ

②奨学金の返還期限猶予の適用条件と解説

返還期限猶予とは、経済状況に応じて最長で10年間、奨学金の返済を引き伸ばすことのできる制度です。
返済する総額や利息が免除されることはありませんが、返還期限猶予の適用期間中は督促されることもなくなりますので安心ですね。

返還期限猶予が適用される条件は?

経済的な困難を理由に奨学金返済の期限猶予を活用するためには、次の条件があります。

1)年収が300万円以下であること(自営業者の場合は200万円以下)
2)定められた証明書を提出すること

1)の所得については減額返還制度と同じです。
2)の証明書については、新卒者とそれ以外とでは内容が異なりますので、それぞれ下記のリンク先を参照してください。

新卒者の場合の返還期限猶予申請証明書について|日本学生支援機構
新卒者以外の場合の返還期限猶予申請証明書について|日本学生支援機構

返還期限猶予で確認しておくべきポイント

奨学金の返還期限猶予が適用される期間は最長で10年間です。しかし、猶予の願い出は1年ごとに行なう必要があります。一度の申請で長期間返還が猶予されるわけではありませんので、注意が必要です。

また、奨学金の返還期限猶予では、減額返還制度と同様、適用期間中に利息がつくことがありません。これは大きなポイントです。
例えば、奨学金の返還期限猶予が適用されている期間中、通常の返済額と同額を貯蓄したとします。返還期限猶予が切れたタイミングで、貯蓄した金額を繰り上げ返済します。すると、第二種奨学金で発生する利息を、猶予期間中のみ発生させない状態で奨学金を返済することができます。
かなり裏技的方法ですが、正式な制度を活用していますし、毎年数万円返済額が変わる可能性があるので、試してみる価値はあるのではないでしょうか。

奨学金の減額返還制度・返還期限猶予の手続きはかんたん!!

減額返還制度と返還期限猶予の申請手続きはとてもかんたん。
ふたつの救済措置共通の猶予願に必要事項を記入して、必要な証明書を添付し郵送するだけです。
猶予願は下記リンクからダウンロードすることもできます(【1-1】が共通猶予願です)。

奨学金返還期限猶予願|日本学生支援機構

この猶予願を記入するにあたって重要なのは、申請するに至った返済困難な事情と、今後の返済の見通しを記入する欄に、しっかりと「収入に対し支出が多く奨学金の返済が難しい状況」「申請が通ればその後きちんと返済できる」という旨を明記することです。虚偽があると申請は認められませんので、ありのままをていねいに記入しましょう。

日本学生支援機構の奨学金返済猶予のための書類

若いときに大事なのはまず限界生活費(年収の半年分)を貯めること

奨学金を借りたなら、しっかりと返すことが求められます。しかし、奨学金の返済でいっぱいいっぱいになって、体を壊してしまっては元も子もありません。
自分の身に、いつなにが起こるかは見当がつきません。だから、若いときに大事なことは、まず「限界生活費」(年収の半年分)を貯めることです。
ですから、まず限界生活費を貯めるために、活用できる奨学金返済の救済措置はありがたく活用していきましょう。

とはいえ、たとえ救済措置を活用したとしても、最終的には奨学金は返済しなければいけません。現在の給与が将来的に増えることが見込めない場合は、転職してみることも候補として考える必要があります。フリーランチのキャリア相談では、奨学金返済プランも含め、将来設計についてのご相談も対応いたしますので、ぜひご活用ください。

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