建築設計事務所の給料が安くなる理由を売上と人工単価から解説します

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設計事務所で働いているスタッフの給料はどのように決まっているのでしょうか?

これまで転職エージェントとして建築系の会社の利益構造を分析したり、建築系の経営・マーケティング顧問として中小さまざまなクライアントの決算書を見て経営分析をしてきた経験から、設計事務所の売上と設計者の給料の関係について、ある程度のパターンに分類できることに気がつきました。

この記事では、建築設計事務所の給料が安くなりがちな理由を設計事務所の売上と設計料の人工単価から解説しています。

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設計事務所は人件費商売で、売上は設計料から構成されている

設計事務所という業態は、経営的な観点では、人が動いてお金をもらうビジネスです。
人件費商売とか、労働集約型のビジネスと言われる仕事です。

設計事務所の売上の大半は設計料で、支出の多くはスタッフの給料や外注費という、シンプルなビジネス構造です。
設計事務所の売上と設計者の給料は、連動しやすい関係にあります。

売上と給料について分析していくと、うまくいっている設計事務所とそうでない設計事務所がわかるようになります。

設計事務所で働く時に欠かせない「人工」という概念

設計料の算定方法について、解説します。
設計料を算出する方法の1つに「人工」という考え方があります。

1人工というのは、1日(8時間)稼働したと想定した作業量となります。
他の業界では、「人日」という呼び方や「man/day」という呼び方をする事もあります。

あなたが月10日(=80時間)、プロジェクトに係わると想定したときは、
「月10人工×設計者のあなたの単価」で見積書を作成します。

この設計単価ですが、「クライアントに提出しているあなたの単価=あなたの給料」にはなりません。

一般的にこの業界で適正な利益が確保できる水準として、下記のような式が目安となります。
自分の単価(月給を稼働日数で割ったしたもの)×2.5倍=見積書の自分の人工単価

それでは見積書の単価と自分の業務量と働き方をどのように関係づければいいのでしょうか。
設計事務所の見積書にありがちな問題と、自分の働き方について具体的な考え方を解説します。

設計事務所で働く人のイメージ

忙しいのに給料が安いという状態はなぜおこるのか?

仕事は忙しいはずなのに、会社からの評価や給料に反映されない理由として、下記のようなことが考えられます。

  • 見積書に自分の単価が計上されていない
    どんなに頑張っても売上に貢献できない状態です。
  • クライアントへの提示単価が、自分の給料の2.5倍を満たしていない
    どんなに頑張っても利益が出ない状態です。
  • 営業段階での見積が甘い、もしくは人工ベースで作業量を割り出せていない
    頑張っても炎上する、もしくは貢献度に対する評価ができない状態です。
  • 月の稼働日数である20人工分の作業が割り当てられていない
    クライアントに請求できない、もしくはクライアントの求めている仕事をやっている状態です。

原価管理は設計事務所の基本ではあるのですが、売上10億円を超えるようなそこそこ大きい組織設計事務所にも、人工単価のコントロールと原価管理が適性に行われていない設計事務所があります。

実際の受注活動のなかでは、競合の設計事務所の有無や、クライアントとの関係性、営業の売上げの達成度など、さまざまな思惑が絡んで価格が上下する傾向にあります。

多かれ少なかれ会社の規模にかかわらず、利益があがらないプロジェクトは発生するものです。

しかし、きちんと組織化されている設計事務所は、儲からないプロジェクトを放置するのではなく、儲からないなりに赤字を最小限に食い止めるような努力をしているように感じます。

利益が出ない設計事務所は構造的に問題がある場合がほとんど

忙しいのに儲からない、給料が安いといった構造は、所属している設計事務所に起因することがほとんどです。
見積書のつくりかたが下手だったり、信頼関係がないのでコスト競争に陥ってしまったりとさまざまな経営的な問題が潜んでいます。

組織の中にいると、自分達が置かれている状況が見えにくくなることもあるでしょう。

忙しいのは「設計」だから仕方がないと考えるのではなく、自分がいる設計事務所がどのような状態にあるのか。

1スタッフとしてできることは、目の前のクライアントは自分に対してどれくらいの報酬を払っているのか、きちんと把握してみることでしょうか。

同じ「設計」でも、きちんと設計料を請求できている設計事務所とそうでない設計事務所で、残業を含む業務の負荷や給料に大きな違いが生まれています。

あなたが参加しているプロジェクトの見積がどのように計上されているか、一度確認してみることをお勧めします。

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