管理建築士になるための受験資格や業務経歴まとめ

建築士事務所を経営するには、その建築士事務所を管理する専任の建築士、管理建築士が事務所内に必要です。
管理建築士は誰でもなれるわけではなく、特定の条件をクリアした建築士だけがなれる資格です。

この記事では、管理建築士になるために必要な管理建築士講習の受験資格や、業務経歴の計算方法などをまとめました。

管理建築士の資格を持っていることは、建築士の起業で必要になることはもちろん、転職などでも有利に働きます。この機会に、あなたも管理建築士を目指してみませんか?

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管理建築士ってなに?

そもそも、管理建築士とはどのような建築士なのでしょうか?

管理建築士とは、建築士事務所の技術的な事項を総括する建築士を指します。
2005年、構造計算書偽造問題、通称「姉歯事件」によって、建築士の資格に対する信頼が揺らいでしまったために、2008年の建築士法改正によって、建築士事務所を管理するための要件が強化された制度が、管理建築士です。

建築士事務所は、専任の建築士が全体を管理しなければいけないとされ、一級建築士事務所は一級建築士が、二級建築士事務所は二級建築士が、専任として管理をしなければなりません。

管理建築士になるためには、国土交通大臣の登録を受けた特定の登録講習機関がおこなう「管理建築士講習」の課程を修了することが必要です。

管理建築士講習の受験資格

管理建築士になるために受講する必要のある「管理建築士講習」ですが、受講には建築士として3年以上の設計業務経験が必要になります。
具体的な設計業務の内容は、以下の6つの業務が該当します。

1)建築物の設計に関する業務
2)建築物の工事監理に関する業務
3)建築工事契約に関する事務に関する業務
4)建築工事の指導監督に関する業務
5)建築物に関する調査又は鑑定に関する業務
6)建築物の建築に関する法令又は条例に基づく手続きの代理に関する業務

ここで、設計業務経験として該当する業務に、施工管理(施工図の作成や安全管理等)が含まれていないことに注意しましょう。
建築士法が定めた建築士事務所における業務経験に、施工管理業務は設計に関する業務として認められていないのです。
施工管理とともに、営繕を除く行政、教育・研究なども、設計業務経験には含まれません。

業務経歴年数の計算方法

管理建築士講習を受講するためには、3年以上の設計業務経験が必要になりますが、この「3年」は、実際に建築士事務所での業務年数ではありません。

建築士免許証の登録日から管理建築士講習の受講申込締切日までを、業務期間として算入することができます。

しかし、長期療養などによって業務をおこなっていない期間は、業務経験年数として算入はできません。
また、同一期間に複数の物件を対象に業務をおこなっていたとしても、重複期間として業務経験年数に算入することもできませんので、注意が必要です。

管理建築士講習に申し込む人のイメージ

管理建築士になれないケース

管理建築士は、建築士事務所に常勤し、専ら管理建築士の職務を1人でおこなう専任性が求められるために、次の人は管理建築士になることができません。

・他社の代表取締役や社員、個人事業主などを兼務している人
・自社の監査役
・派遣労働者

また、「ひとつの建築士事務所に管理建築士は1人」という考え方がされるため、

・1人の建築士が複数の建築士事務所で管理建築士になること
・ひとつの建築士事務所登録に、複数の管理建築士を置くこと

はできません。

また、同一法人内に複数の建築士事務所がある場合は、各事務所ごとに管理建築士が必要になります。

管理建築士が不在になれば事務所は廃業!

管理建築士は、建築士法によって定められた制度のため、建築士事務所内において管理建築士が不在となった場合、廃業事由に該当します。
そのため、管理建築士が不在になれば30日以内に廃業等の届出をしなければいけません。

管理建築士は、建築士事務所を経営するには必要不可欠な資格です。
また、管理建築士講習は各機関で年間を通じて受講することが可能です。建築家として独立を考えている方は、計画的に受講しましょう。

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