宅建士(宅地建物取引士)試験に合格することで、不動産の仲介や売買などの事業で必要になる宅建士資格を得られます。
この記事では実際に宅建士試験を受験する方のために、宅建士試験の内容と合格率などの受験に役立つ情報をまとめました。
宅建士試験の出題形式や試験科目といった試験の内容、過去問の入手方法について、過去10年間の合格率や合格基準点などについて解説しています。
この記事のポイント
宅建士(宅地建物取引士)試験の概要
宅地建物取引士(以下宅建士)試験は、宅地建物取引業に関する実用的な知識を有するかどうかを判定することに基準が置かれています。
宅建士試験の出題範囲は宅地建物取引に関わる法律などで、宅建業法や建築基準法や民法などから広範囲に出題されます。試験範囲の広さは宅建士の業務範囲が広く多岐にわたることが反映されています。
また宅建士試験の合格率は2007年~2016年には17.9%~15.2%の間で推移しています。合格率はそれほど高いわけではないので、合格のためには計画的な勉強が必要と言えます。
宅建士試験の出題形式と出題内容
宅建士試験の出題形式や内容について解説します。
宅建士試験の出題形式
宅建士試験の出題形式は以下のようになっています。一般受験の場合と5点免除を受けた場合では出題数と試験時間が異なります。
一般受験の場合 | 5点免除を受けた場合 | |
---|---|---|
出題形式 | 四肢択一 | 四肢択一 |
回答形式 | マークシート | マークシート |
出題数 | 50問 | 45問 |
試験時間 | 2時間 | 1時間50分 |
宅建士試験の出題内容
宅建士試験では、宅建業法と民法を中心に宅地建物取引に関する法律などから出題されます。出題内容は大きく4つの科目+5点免除科目に分類されます。また各科目からの出題数は以下の表のようになっています。
科目 | 出題数 | 問題番号 |
---|---|---|
宅建業法 | 20問 | 26~45問 |
権利関係(民法、借地借家法、不動産登記法など) | 14問 | 1~14問 |
法令上の制限(都市計画法、建築基準法など) | 8問 | 15~22問 |
税・価格など(不動産鑑定評価と地価公示、税法など) | 3問 | 23~25問 |
5点免除科目(景品表示法、統計、土地・建物の知識など) | 5問 | 46~50問 |
登録講習を受けて試験の5点免除を申し込んだ場合、46~50問は免除されます。
宅建士試験の例題と過去問の入手方法
以下の問題は2016年の宅建士試験から抜粋したものです。
【問1】次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。
1 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利息は年3%とする旨
2 賃貸人は、賃貸人が賃貸借に基づく金銭債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる旨
3 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる旨
4 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する旨
正解:4
(平成28年度宅地建物取引士試験より抜粋)
宅建士試験はこのような問題が50問(5点免除を受けた場合は45問)出題されます。過去問は書店などで手に入るほか、不動産適正取引推進機構のウェブサイトに1988年からの過去問と解答が公開されています。
・「(参考)不動産適正取引推進機構サイト内の宅建士試験の過去問掲載ページ」
過去10年間の宅建士試験の合格率
以下は2016年から過去10年の受験者・合格者・合格率の表です。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
---|---|---|---|
2016 | 198463 | 30589 | 15.4% |
2015 | 194926 | 30028 | 15.4% |
2014 | 192029 | 33670 | 17.5% |
2013 | 192029 | 28470 | 15.3% |
2012 | 191169 | 32000 | 16.7% |
2011 | 188572 | 30391 | 16.1% |
2010 | 186542 | 28311 | 15.2% |
2009 | 195515 | 34918 | 17.9% |
2008 | 209415 | 33946 | 16.2% |
2007 | 209684 | 36203 | 17.3% |
平均 | 195261.9 | 31852.6 | 16.3% |
過去10年間で合格率の最高は17.9%、最低は15.2%です。その差は2.7%です。平均すると、合格率は16.3%となっています。
過去10年間の宅建士試験の合格基準点
その年の試験の難易度によって合格基準点は上下します。そのため一概には言えませんが一般的には7割以上、つまり50問中35点以上が合格ラインの目安です。
2016年から過去10年の合格基準点は以下のようになっています。
一般受験の場合(出題は50問) | 5点免除を受けた場合(出題は45問) | |
---|---|---|
2016 | 35点 | 30点 |
2015 | 31点 | 26点 |
2014 | 32点 | 27点 |
2013 | 33点 | 28点 |
2012 | 33点 | 28点 |
2011 | 36点 | 31点 |
2010 | 36点 | 31点 |
2009 | 33点 | 28点 |
2008 | 33点 | 28点 |
2007 | 35点 | 30点 |
平均 | 33.7点 | 28.7点 |
10年間を平均すると一般受験者の合格基準点は33.7点で、5点免除を受けた場合の平均は28.7点になっています。また一般受験の場合の合格基準点の最高は36点、最低は31点となっています。
宅建士試験の内容や試験範囲を把握し、しっかりとした受験対策を
宅建士試験は宅建業法や民法を中心とした法律の問題が多く出題されます。試験は四肢択一形式なので比較的解答しやすいと言えます。
宅建士試験の合格ラインは一般的に50問中35点と言われています。7割以上の得点が必要なので、計画的な学習が必要です。また宅地建物取引業に従事している方は、宅建士試験本番で5点免除される登録講習の受講を検討してみて下さい。
宅建士は需要が多い資格なので転職やキャリアアップなど合格後のチャンスが広がります。しっかりと受験対策をして試験に臨み、計画的にキャリアを積上げましょう。
また、宅建士試験の申込み方法や5点免除については以下の記事に詳しくまとめています。
・「宅建士試験の受験スケジュールや申込み方法を解説」
・「宅建士試験が本番で5点免除になる登録講習の内容や申込方法を解説」
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