建築業界の転職で同時に多数の求人に応募する際のリスク

建築業界では、同時並行で多くの求人に応募するような転職活動には大きなリスクがあります。

転職エージェントによってはたくさんの求人に常に応募している事が重要だとアドバイスをしている事がありますが、それは転職エージェントと企業が結んでいる先着縛りの契約によるもので、転職希望者にとってはメリットがありません。

この記事では、建築業界のような専門性の高い業界での転職時に、同時に多数の求人に応募する事で生じるリスクについて解説します。

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不採用になると長くて一年半再応募できなくなる

大手の転職エージェントでは、転職希望者に同時進行で多くの求人に応募するようにアドバイスする事が多いです。

しかし、一度応募して不採用になった企業には長くて一年半程度、再応募することが実質不可能になります。これは、転職エージェントと企業が結んでいる「先着縛り」の契約によるものです。

そのため、仮に最初の1ヶ月で大量の企業に応募して全て不採用になった場合、体制を整えて再チャレンジする機会も同時に失われてしまいます。

そして、特に建築業界のような専門性の高い業界にとっては大きなデメリットとなります。

専門性の高い建築業界ではそもそも応募先企業に限りがある

建築業界のような専門性の高い業界では、各業種の代表的な企業の数自体に限りがあります。

建築業界の転職エージェントとして相談を受ける中でも、ゼネコン・組織建築設計事務所・デベロッパー・コンストラクションマネジメント会社など、各々の業種で転職の希望先として名前が出る企業の数はあまり多くありません。

そのため、中途半端に主要企業全てに応募し不採用になってしまうと身動きが取れなくなり、再応募ができない一年半という期間はかなり長く感じられると思います。

大量応募のリスクに気づき転職活動に成功した人

転職活動の初動で大量の求人に応募してしまった転職希望者の共通点

転職活動の初動で多くの求人に応募してしまった転職希望者には、下記のようなアドバイスを転職エージェントから受けていたケースが多いです。

・転職先は複数選択できる状態にしておくべきです
・書類通過率は20パーセント程度なので、まずは応募しましょう
・常に7〜8社応募しておくことが重要です
・まずは応募してみて、内定が出てから入社するか考えれば大丈夫です

中にはきちんと建築実務経験を積んでいる方もいらっしゃいますが、準備不足や書類通過の見込みが薄くても「とりあえず」で建築業界の各業種の企業に大量応募し、全て不採用になってしまったケースが見られます。

結果として、建築業界でまともに応募できる企業がなくなり先着縛り解ける一年半の間は打つ手がなくなってしまいます。

転職エージェントと先着縛りの関係について詳しくは下記の記事をご覧ください。

「大手転職エージェントが同時に多くの求人に応募させたがる本当の理由」
転職希望者に一般的には知られていない先着縛りについて解説した記事です。

建築業界の転職では半年から一年で働き手の価値が変わることも十分あり得る

建築業界に特化して活動してきた転職エージェントとしての経験上、建築業界での転職では半年から一年で働き手の価値が大きく変わる事があると感じています。

例えば、一級建築士資格を取得するといった事はわかりやすい例です。

しかし、初動の1ヶ月で多くの企業に応募し、先着縛りにあってしまうと、長くて一年半、何もできない状態で待つことになります。

これは転職希望者にとっては大きなリスクになります。しかし、担当の転職エージェントが求人への応募を最優先してしまうと、機が熟すまで待つという選択肢が取れなくなってしまいます。

そもそも書類落ちがわかっているような状況での応募に意味があるのか

転職エージェントが求人に大量応募させる理由の一つに、書類通過率の低さが挙げられます。

しかし、そもそも8割が書類で落ちるような前提で求人に「とりあえず」応募するような転職活動に意味があるのでしょうか。

転職エージェント側にとっては、たとえ内定が取れなくても、担当した転職希望者を先着縛りで縛っておく事ができます。

仮に一度転職活動を離れて復帰した時、他者エージェントからは一度落ちた企業に再応募はできないので、「他のエージェントは求人を紹介してくれない」という状態になります。

一方、転職希望者にとっては、「たくさん求人を紹介してくれて希望が持てる転職エージェント」と映りますが、実際はこれまでご説明したようにデメリットが圧倒的に大きいです。

少なくとも、転職希望者の経歴とスキルを洗い出し、「転職希望者と企業の双方にメリットがあるようなマッチング、応募企業に合わせた書類作成をすることで、書類選考の9割は通過できます。そのため、フリーランチでは同時並行で多数の求人に応募することは推奨していません。

フリーランチでは、これからも相談者の方一人一人としっかり向き合いながら働き方のアドバイスをしていきたいと考えています。

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