大手転職エージェントを使って転職活動を行う場合、同時進行で複数の求人に応募するようアドバイスされることが一般的ですが、これには理由があります。
実は、転職エージェントが同時に多くの求人に応募させたがる理由は「先着縛り」という転職エージェントと企業が結んでいる契約にあります。
この記事では、一般にあまり知られていない先着縛りのシステムについて解説します。
転職エージェントが多くの求人に応募させたがるのは先着縛りがあるから
建築業界での転職を考えた際、担当の転職エージェントから「たくさんの求人に応募し、比較した上で行きたい企業を選ぶ事が大切である」というような説明を受け、複数の企業に同時に応募するよう促される事があります。
これは一見正しい提案に思えます。しかし、転職エージェントが転職希望者を多数の求人に応募させたがる本当の理由は、「先着縛り」という転職エージェントと企業が結んでいる契約にあります。
そして、先着縛りについて転職希望者が説明を受ける事はまずありません。
転職エージェントが企業と結ぶ先着縛りの契約とは何か
転職エージェントは、求人の紹介先企業がエージェントに支払う報酬に関して企業側と契約を結んでいますが、その中に先着縛りについての項目があります。
この先着縛りを簡単に説明すると、下記のようになります。
- 転職希望者を紹介した最初の転職エージェントに応募先企業から報酬が支払われる権利が発生し、その効力は一定期間(通常12~15ヶ月程度)続く
効力が12~15ヶ月間続くという事がポイントで、先着縛りが適用されると下記のような事が起こります。
- 転職エージェントAに紹介されて企業Bの求人に応募して不採用になった
- しばらくしてから別の転職エージェントCを窓口にして企業Bの求人に再応募し、今度は入社が決まった
- もし上記が先着縛りで定めた期間内であった場合、企業Bは、転職エージェントAに報酬を支払わなくてはならない。
上記のような事が起きてしまうため、先着縛りの効力が無くなるまでは、実質的に一度落ちた企業の求人を他の転職エージェントから再応募することが出来なくなります。
担当の転職エージェントは他社より先に応募させて縛っておきたい
担当の転職エージェントとしては、最初に自分を通して手元にある企業の求人に応募・入社してもらわないと、紹介先企業の求人枠による報酬が貰えません。
転職希望者によっては他者エージェントと掛け持ちしている場合があるので、先を越される前に、その人を紹介して縛っておきたいのです。
そのため、この12~15ヶ月のイニシアチブを逆手にとって、「まずは応募してから考えましょう」というように、とりあえずでも先に応募させてしまいます。
この場合、応募先の企業に関係なく応募書類を使い回しているため8割は書類で落ちています。
そして、専門性の高い建築業界などであれば、「とりあえず」で求人に落ち続けると、応募できる企業が無くなってしまう事もありえます。
先着縛りに惑わされず転職時の企業への応募は慎重に行いましょう
転職エージェントが多くの求人に応募させたがるのは、企業との間に先着縛りという契約が存在しているからです。
そして、12~15ヶ月の先着縛りを逆手に取り、準備不足で書類が通過する見込みが薄い状況でもとにかく求人に応募させる転職エージェントが少なくありません。
建築業界のような専門性の高い業界では、先着縛りのせいで短期間のうちにまともに応募できる企業が無くなり、身動きが取れなくなっている恐れもあります。
先着縛りの存在をしっかり認識した上で、転職時の企業への応募は慎重に行うようにしましょう。
フリーランチではキャリア相談を通じて、建築業界での転職や働き方についてのご相談を承っています。
転職をご希望の場合は無理な同時応募を推奨しないスタンスを取っており、応募する企業に合わせた書類作成のアドバイスを行うこともできます。キャリアと整合性の取れる企業に対して適切な書類作成を行うので、書類通過率は9割程です。
「とりあえず」で求人に応募する前に、一度ご相談に来てはいかがでしょうか。お待ちしております。