三菱地所やJRなど大型再開発やエキナカなど商業施設が得意な組織設計事務所

この記事では大型再開発やエキナカ駅周辺開発など、大型商業施設に強い組織設計事務所をまとめています。組織設計事務所はそれぞれ特徴が異なり、商業施設についても特異な分野が違っています。

この記事ではジェイアール東日本建築設計事務所、三菱地所設計、日建設計の3つの組織設計事務所の特徴や商業施設の実績をまとめました。

商業施設に強い組織設計事務所については『RIAや東急など地域再開発や大型ショッピングセンターが得意な組織設計事務所』でも紹介しています。あわせてご一読ください。
※2018年2月6日追記（2016年11月08日公開）

都市部の商業施設に強い組織設計事務所は大きく分類２つに分類できる

この記事では商業施設に実績のある組織設計事務所として、ジェイアール東日本建築設計事務所、三菱地所設計、日建設計の3つをピックアップしました。この3社はどれも商業施設に実績のある組織設計事務所ですが、大きく2つの分類に分けることができます。

ジェイアール東日本建築設計事務所はJR東日本グループに属する組織設計事務所です。また三菱地所設計は三菱地所グループに属しています。こういった組織設計事務所をグループ系組織設計事務所といいます。

一方、日建設計のようにグループ企業を持たない組織設計事務所を独立系組織設計事務所といいます。

駅の商業施設に強いジェイアール東日本建築設計事務所

ジェイアール東日本建築設計事務所は、JR東日本グループに属するグループ系組織設計事務所です。そのためジェイアール東日本建築設計事務所は駅舎の実績が豊富ですが、駅関連の商業施設の実績も豊富です。

駅関連の開発の場合、開発母体がJR東日本グループで商業施設の設計はジェイアール東日本建築設計事務所、という場合がとても多いです。

そのためジェイアール東日本建築設計事務所はエキナカ商業施設や駅ビル商業施設の実績が豊富です。ルミネやアトレといった商業施設もJR東日本グループの一員です。

ジェイアール東日本建築設計事務所における商業施設・大規模開発の実績

ジェイアール東日本建築設計事務所の以下のような、駅に関連する施設の実績が多くなっています。

・東京駅のエキナカ商業施設（グランスタなど）
東京駅の丸の内側と八重洲側を結ぶ、地下中央コンコースの開発です。東京駅構内ではいわゆる「エキナカ」開発が多数進められていますが、グランスタは80 店舗以上が揃う改札内最大のショッピングスポットとなっています。待ち合わせのための広場などもあり、さまざまなニーズに応える施設となっています。
・新宿ミライナタワー
商業施設やオフィスや文化施設などが入っている大規模複合施設です。新宿駅の旧新南口駅舎の跡地と線路上の人工地盤に建設されました。人工地盤上に駅施設、バスタ新宿、多目的ホール、屋上広場などが設けられています。上層階はオフィスで、下層階にはルミネの複合商業施設「NEWoMan」（ニュウマン）が入っています。
・マーチエキュート神田万世橋
旧万世橋駅とともにつくられ、現在も使用されているJR中央線の煉瓦高架橋の開発です。アーチ型の内部空間を商業施設に転換しています。神田川沿いには親水デッキを設けられ、旧ホーム上には中央線を間近に見られる展望デッキやカフェスペースが新設されました。

JR東日本は生活サービス事業として商業開発に力を入れているので、今後もジェイアール東日本建築設計事務所が関わる商業施設は増えていくと考えられます。

一方、ルミネ有楽町のような市中展開型商業施設の実績も出てきており、今後新たな展開が生まれてくるかもしれません。しかしメインの仕事は駅に関連する複合商業施設であるという方向性は変わらないと思われます。

東京駅前丸の内の商業施設に強い三菱地所設計

三菱地所設計は三菱地所グループに属するグループ系組織設計事務所です。その歴史は古く、1890年に三菱社に設置された丸ノ内建築所がルーツとなります。その後、三菱地所内の設計監理事業本部を分社して2001年に設立されたのが現在の三菱地所設計です。

三菱地所設計は100年以上にわたり丸の内と向き合って来た組織設計事務所といえます。現在でも三菱地所と一体となって商業施設を数多く設計しています。

三菱地所設計における商業施設・大規模開発の実績

東京駅前の丸の内エリアには以下のような、三菱地所設計の設計した施設が多くあります。

・丸の内ビルディング
通称丸ビルと呼ばれる商業施設とオフィスの入ったビルです。旧丸の内ビルディングの建て替えプロジェクトによって建設されました。丸の内を南北に通る仲通りと東西通りの交点にはアトリウムが配置され、通りと連続する半屋外部的な空間になっています。
・新丸の内ビルディング
丸の内ビルディングの通りを挟んで向かい側にある超高層ビルです。高層部はオフィス、低層部は商業施設になっています。周辺建物との連続性や回遊性が高く、地下道を通じて東京駅や丸の内一帯のビル群に行くことができます。
・JPタワー
旧東京中央郵便局の敷地に建てられた超高層ビルです。旧東京中央郵便局舎の広場側2スパンを保存し、その上にタワーを建設しています。高層部にはオフィス、低層部には商業施設「KITTE」などが入っています。ガラスを多用している建築でありながら、最高水準の環境性能を持っています。

また、三菱地所設計は丸の内以外にも大型再開発に関連した商業施設の実績があります。

・有楽町イトシア
有楽町駅前の複合商業施設です。丸井を核店舗とする商業施設とオフィスが入っています。大きな曲面と円弧状のタイル壁面の柔らかいデザインが特徴で、低層部は商業施設、高層部はオフィスになっています。
・大名古屋ビルヂング
名古屋駅前で長く親しまれてきた大名古屋ビルヂングの建て替えプロジェクトによって建設されました。低層部は商業施設で、高層部はオフィスになっています。「緑の丘に立つ大樹」をデザインコンセプトとし、低層部の屋上を緑化し市民に開放しています。

三菱地所設計は商業施設単体というよりは、オフィスと商業施設の複合開発プロジェクトに実績がある組織設計事務所と言えます。

大規模な施設の実績が多く商業施設にも強い日建設計

日本一の組織設計事務所といっても過言ではない日建設計ですが、商業施設についても実績が豊富です。日建設計は独立系組織設計事務所ということもあり、プロジェクトの内容も多岐にわたります。また、知名度の高い商業施設が多いです。

日建設計における商業施設・大規模開発の実績

日建設計は以下のような、大型再開発やインフラ施設に実績があります。

・東京ミッドタウン
オフィス、ホテル、住宅、商業施設、美術館、多目的ホールなどからなる都市型複合施設です。旧防衛省の跡地と近接する港区檜町公園が一体的に開発されたプロジェクトです。敷地のほぼ中央に超高層ビル「ミッドタウン・タワー」が配置されています。
・渋谷ヒカリエ
オフィス、劇場、イベントホール、クリエイティブスペース、飲食施設、商業施設などの用途で構成される高層複合施設です。東急文化会館跡地に建設されました。高層部はオフィス、低層部は商業施設や劇場などが入っています。
・東京スカイツリータウン
東京スカイツリーを中心としたエリアに建てられた複合施設です。とうきょうスカイツリー駅と押上駅に直結しており、東西長さは約400mになります。東京スカイツリー、商業施設、プラネタリウム、水族館、オフィス、教育関連施設などで構成されています。
・海ほたる
東京湾アクアラインのトンネルから橋梁の移行部にある、人工島のパーキングエリアです。全長約650m、全幅約100mで、1階から3階までが駐車場になっています。4階が無料休憩所と店舗、5階がレストランで構成されています。

また、日建設計は以下のような百貨店やショッピングセンターも手がけています。

・梅田阪急ビル
大阪市にある超高層ビルです。旧梅田阪急ビルが老朽化し、南北2つに分けて建て替られました。低層部は阪急うめだ本店を核店舗とし、上層部はオフィスになっています。
・流山おおたかの森S.C
大規模郊外型ショッピングセンターです。つくばエクスプレス、東武野田線との接続駅となる流山おおたかの森に建設されました。駅コンコースとはペデストリアンデッキにより直結されています。

日建設計は都心の商業ビルやブランドビルの実績もあります。

・ヤマハ銀座ビル
総合楽器メーカーであるヤマハの旗艦店です。コンサートホール、音楽教室、楽器店などが複合した施設です。外観は金管楽器をイメーシさせる新開発の金箔合せガラスを用いており、繊細な光の反射や変化によって、音楽的なリズムやゆらぎが表現されています。
・ポーラ銀座ビル
ポーラ創業80年を記念した、フラッグシップビルです。旧ポーラビルの建て替えによって建設されました。ダブルスキンの中に半透明の可動パネルとさまざまな色彩に光るLED照明を組み込んでおり、変化や動きを表現すするファサードとなっています。
・東急プラザ銀座
東急プラザの銀座エリアで初めての出店となる大型商業施設です。「光の器」をコンセプトの1つとしており、外装はガラスカーテンウォールとアルミルーバーで構成され、複雑な光の反射と透過を生み出しています。

幅広く商業施設に関わりたい設計者にとって、日建設計は一つの選択肢と言えます。