ニセ建築士事務所に転職する設計者のリスクと見分け方を具体的に紹介

建築業界には、建築士事務所登録をしていないのに建築士事務所のフリをしたニセ建築士事務所や、資格を持っていないのに一級建築士のフリをしているニセ建築士が存在します。

建築業界で働く方にとっては、建築設計事務所で働く期間が一級建築士の受験資格や管理建築士講習の受講資格である建築実務経験を兼ねるケースもあるでしょう。

もしも、就職や転職時に気がつかずにニセ建築士事務所に入所してしまうと、一級建築士受験のために必要な実務経験を満たすことができなくなる可能性があります。

この記事では、現在働いている設計事務所がニセ建築士事務所であるかどうかを見抜く方法を解説します。

ニセ建築士以外の違法な求人や待遇について知りたい方は、「建築設計事務所の転職で給料や社保未加入など違法な求人や慣習を紹介します」をあわせてお読みください。

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ニセ建築士事務所やニセ建築士に要注意

うっかり転職してしまうと個人にとっても大きなリスクに繋がるのがニセ建築士事務所やニセ建築士の存在です。

ニセ建築士事務所とは、建築士事務所登録をしていないにもかかわらず、建築士事務所であるかのように振る舞うなどして仕事を取っている事務所を指します。

ニセ建築士とは、本当は建築士資格を持っていないにもかかわらず、建築士を自称したり、建築士の業務を行なっている者を指します。

2012年には、旧タイプの紙の一級建築士免許証を偽造し一級建築士になりすまして設計業務を行なっていたり、建築士事務所を開設していたニセ建築士が問題となりました。

働き手にとっては、特にニセ建築士事務所に転職してしまった場合に大きなリスクを背負うことになります。

ニセ建築士事務所で働くリスクは建築実務経験が証明されないこと

ニセ建築士事務所にうっかり転職してしまった場合の大きなリスクとして、建築実務経験の証明が得られないことが挙げられます。

建築実務経験の証明が必要になるのは、例えば下記のような場合です。

・一級建築士試験を受験したい
・独立して建築士事務所を開設するために管理建築士講習を受講したい

しかし、勤務先がニセ建築士事務所であった場合、建築実務経験を証明できません。

ニセ建築士事務所と知らずに働いてしまい、一級建築士試験の受験資格が得られず転職せざるを得なくなった方も現実に存在しています。

転職時にできるニセ建築士事務所の見分け方

ニセ建築士事務所にうっかり転職してしまわないように、私の実体験を踏まえた見分け方をご紹介します。

下記3つに該当する場合、真っ当な建築士事務所であるかはかなり怪しいです。

・ホームページの会社概要をみても建築士事務所の登録番号が見当たらない
・管理建築士に関する記載がどこにもない
・面接のために事務所にいったが、建築士事務所登録票の掲示が無い

もし転職希望の設計事務所がこれらのポイントに該当した場合、公的な手段で確認することをオススメします。

ニセ建築士事務所を一発で見破れる公的な確認手段があります

転職したい設計事務所がきちんとした建築士事務所であるか個人の力で確認できなかった場合、公的な手段で確認を取ることができます。

・建築士事務所の登録簿を閲覧する、または、電話で問い合わせる
・一級建築士名簿を閲覧する、または、電話で問い合わせる

建築士事務所登録については建築士事務所協会で閲覧できます。また、日本建築士会連合会建築士会では、一級建築士名簿を一般の方に公開しています。基本的な情報の確認であれば、電話での問い合わせも可能です。

これらにより、転職先の設計事務所がニセ建築士事務所ではないか、管理建築士として名前があった人間が本当に建築士であるか、などを確認できます。

東京都建築士事務所協会に電話一本で確認できました

実際に「一般社団法人 東京都建築士事務所協会」に電話してみましたが、建築士事務所の登録の確認が簡単にできました。その際、こちらから特に個人情報を明かす必要もありません。

・新規の取引先となる設計事務所が本物か知りたい
・自宅の設計をお願いする設計事務所が本物か知りたい

などの理由で問い合わせれば、登録状況と管理建築士名などを教えてもらえます。

東京であれば、建築士事務所登録に関しては「一般社団法人 東京都建築士事務所協会 登録センター」にて、建築士免許については「日本建築士会連合会 建築士登録部」「一般社団法人 東京建築士会」にて確認ができます。

ニセ建築事務所を見分けて転職に成功する人のイメージ

あなたの転職先が本当に建築士事務所かどうかしっかり確認しましょう

残念ながら、ニセ建築士事務所やニセ建築士は思った以上に身近に存在しています。

実際、私が所属した設計事務所の所長は親族の建築士番号に自分の名前を入れ替えた建築士免許の怪しいコピーしか持っておらず、退職後に調べたらやはりニセ建築士でした。

また、知り合いが建築士事務所だと思って働いていた事務所はニセ建築士事務所だったそうです。

そのニセ建築士事務所では、建築士事務所のフリをして仕事を得ていましたが、確認申請については色々と理由をつけて工務店に押付けていたそうです。

転職しようとしている建築士事務所が怪しいと感じたら、公的な手段で確認を取るのが確実です。この記事でご紹介したように、電話一本で建築士事務所登録を行なっているかどうか簡単に確認が取れます。

建築実務経験の要件として認められなくなると、働き手にとっては大きな痛手です。気付くタイミングによっては、設計者を諦めなくてはならないこともあり得ます。

そうならないように、転職先がニセ建築士事務所ではないかきちんと確認しましょう。

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