建築や都市の実務に役立つセミナーや資格試験を行う業界団体を紹介

建築や都市に関するいくつかの業界団体では、実務者のスキルアップに有益な資格試験やセミナーを開催しています。

特に、建築や都市に関わる大手企業、そこに所属する実務者が数多く参加している業界団体では継続的なスキルアップの機会を提供する姿勢が強く、実務者にとって活用するメリットが大きいです。

この記事では、建築や都市の実務に役立つ取り組みを行なっている公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会、一般社団法人再開発コーディネーター協会、公益社団法人日本技術士会、公益社団法人日本建築積算協会という4つの業界団体を紹介します。建築の働き方の悩み、プロに相談しませんか?

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会はオフィスに関わる企業会員が多い

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会は、アメリカで生まれた新しい経営管理方式であるファシリティマネジメント(FM)の普及ファシリティマネージャーの育成に取り組む団体です。

日本ファシリティマネジメント協会は1987年に創設され、2017年7月時点で法人会員数は約190社、個人会員数は約900名です。

また、日本ファシリティマネジメント協会が認定するファシリティマネージャー資格登録者数は約6,600名です。

認定ファシリティマネージャー資格試験の実施

ファシリティマネジメントに関する資格認定である認定ファシリティマネージャー資格試験を実施しています。合格後、資格登録を行うことで認定ファシリティマネジャー(CFMJ)として活動できるようになります。

ファシリティマネジメントに関するセミナーの実施

日本ファシリティマネジメント協会ではファシリティマネジメントに関する様々なセミナーを実施しています(2017年9月現在)。

  • ウィークリーセミナー:月に2〜3回開催しており、毎回様々なテーマが設定されています。
  • 初級FMセミナー:ファシリティマネジメントの入門者向けセミナーです。
  • FMサマースクール:実務者向けの6日間集中講義のセミナーです。
  • 上級FMセミナー:大学講師や実務専門家によるファシリティマネジメント上級者向けセミナーです。
  • 専門分野別セミナー:ファシリティマネジメントの専門分野別定例セミナーです。
  • 各種企画セミナー:不定期に開催しているセミナーです。

日本ファシリティマネジメント協会会員(JFMA会員)であれば非会員に比べて受講料が安くなります。

一般社団法人再開発コーディネーター協会は都市コンサルタント企業が多く関わる

一般社団法人再開発コーディネーター協会は、再開発に関わる企業や個人を中心に構成された団体で、1979年に設立された再開発コーディネーター協議会が発展した団体です。

再開発コーディネーター協会では、再開発コーディネート業務に関する調査研究や情報提供再開発コーディーネーターの養成などに取り組んでいます。

2017年4月時点での正会員数は、法人会員数が192社、個人会員数が772名です。

都市再開発の専門家である再開発プランナー試験の実施

再開発コーディネーター協会の認定資格である再開発プランナー試験を行っています。

再開発プランナーは都市再開発事業に関する専門技術者であることを示すもので、筆記試験に加え実務経験の審査が行われます。

マンション建替え支援と建替えアドバイザー制度

再開発コーディネーター協会では、再開発の専門機関として老朽化したマンションに関する様々な相談に対応する窓口であるマンション建替相談室を開設しています。

また、再開発プランナーなどが一定の研修を受けることで、URCAマンション建替アドバイザーとして登録することができます。

再開発コーディネーターの養成講座や講習会の実施

再開発コーディネーターの養成や技術力向上を目的とした講座や講習会を実施しています。代表的なものは下記です。

  • 養成講座:入門編から総合コース、実技コース、コーディネーター養成講座など多様な講座を実施しています。
  • 技術研究会:再開発コーディネート業務等に関する技術、ノウハウに関する専門的な研究会を行なっています。

再開発コーディネーター協会の会員であれば一般より安く受講できます。

建築や都市の実務に役立つセミナーの司会の女性

公益社団法人日本技術士会は技術士の継続的なスキルアップに積極的

公益社団法人日本技術士会は、技術士法で明示された国内唯一の技術士による社団法人です。また、日本技術士会は1951年に設立された歴史ある業界団体です。

日本技術士会では技術士制度の普及や技術士への情報提供、技術士のCPD(継続研鑽)に関する取り組みを行っています。

また、日本技術士会の正会員数は2016年3月時点で14,668名です。

技術士法に基づく技術士試験の実施

技術士会では、技術士法に基づく技術士試験を実施しています。試験は一次試験と二次試験に別れており、日本技術士会の公式ウェブサイトでは技術士試験の過去問を掲載しています。

APECエンジニアやIPEAエンジニアへの登録手続きの実施

技術士資格は技術者が海外で自由に活動するためのAPECエンジニア登録制度IPEA国際エンジニア資格制度に参加しています。

日本技術士会はこれらの審査・登録機関となっており、技術士の海外での活動をサポートしています。

技術士CPD(継続研鑽)行事の開催

日本技術士会では、技術士法を背景とした技術士資格取得後の研鑽、技術士CPD(継続研鑽)に関する取り組みを行っています。

  • 技術士CPD中央講座・ミニ講座:技術士CPDの実施を目的とする講座を実施しています。
  • 技術士CPD・技術士業績・研究発表年次大会:技術士が研究発表を行う機会を提供しています
  • 技術士フォーラム:日本技術士会が直面している重要問題について理解を深めるフォーラムを実施しています。

その他、各支部で情報交換や調査研究会など様々な行事が行われています。
各会合や行事の会費は正会員であれば安くなります。

公益社団法人日本建築積算協会はセミナーのeラーニング化を推進

公益社団法人日本建築積算協会建築積算技術者の団体です。個人会員が中心の組織で、積算事務所や設計事務所、ゼネコン、サブコン、デベロッパーなど所属先は多岐に渡ります。

前進母体である日本建築積算事務所協会の設立が1967年で、歴史ある業界団体と言えます。

日本建築積算協会では、主に人材育成と認定資格事業、調査研究、建築コストに関する第三者評定事業に取り組んでいます。

また、日本建築積算協会に所属する個人の正会員数は2017年4月時点で3,613名です。

建築コスト管理士などの認定資格試験の実施

日本建築積算協会では3つの認定資格試験を実施しています。

  • 建築コスト管理士:建築積算士の上位資格であり、受験資格に実務経験等が求められます。
  • 建築積算士:3つの認定資格の中でも中核を担う資格です。建築士等であれば一次試験免除されます。
  • 建築積算士補:学生が取得しやすい資格として2009年に創設されました。

建築積算に関するセミナーの実施

日本建築積算協会では積算に関するセミナーやスクールを積極的に実施しています。主なものを下記にご紹介します。

  • 積算学校:官民で定めた基準や標準書式に基づく建築積算ができる積算技術者の養成を目的としています。
  • 積算教室:積算学校に比べて短期で組まれた講習です。
  • コストスクール:設計事務所、積算事務所、建設会社などでコストマネジメントを担当するプロジェクトマネージャーの育成を目指すスクールです。

また、上記のセミナーやスクールをeラーニングで受けられる取り組みを推進中です。

継続的なスキルアップのために業界団体をうまく活用する

建築や都市に関わる大手企業が加入する実務色の強い業界団体では、資格試験の実施だけでなくセミナーや講習会を積極的に行なっています。

セミナーでは業界の著名人が講師を務める場合もあり、建築や都市に関する実務の最新情報を得るには良い機会です。そして、正会員であれば非会員よりも安くセミナーや講習を受講できる場合が多いです。

また、業界団体のイベントを通じて社外の建築実務者と知り合うことができます。

長く同じ環境で働いていると、どうしても自分の立ち位置を客観的に知る機会が少なくなります。自分の仕事や会社の取り組みを客観的に捉える上で、社外で実務者の繋がりを持つことはプラスに働くことでしょう。

フリーランチでは、建築や都市に関わる実務者の方が持つ働き方や転職の悩みについて、キャリア相談という窓口にてご相談を受けつけています。

建築業界の実務経験と働き方の知識を持ったエージェントがサポートいたしますので、是非お声掛けください。仕事の悩みを働き方のプロに相談しませんか?