転職年収に大きく影響する基本給とみなし残業代や固定残業代を解説します

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求人票を見ていると、月給の記載に「みなし残業代」「固定残業代」のように一定時間の残業代が予め提示されている場合があります。

実は、みなし残業代や固定残業代といった方式自体は法律で制度が規定されている訳ではありませんが、労働基準法などの条件を満たす事で運用が認められています。

ただし、「うちの会社は残業代が20時間分で固定だから、それ以上残業した分は残業代がない」といった誤解や不適切な運用がされているケースも見られます。

この記事では、みなし残業代や固定残業代について押さえておくべき基本的な項目をまとめました。
また、本記事の内容は執筆時である2017年4月18日時点の行政による公開情報を参考にしています。

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みなし残業代について転職時に理解しておきたい3つのポイント

みなし残業代や固定残業代に関して押さえておくべき基本は下記の3つです。

・みなし残業代について求人票や労働条件通知書などに適切な明示があるか
・基本給やみなし残業代がそれぞれ最低賃金で定める基準以上であるか
・みなし残業代が法定時間外などの割増賃金と同額以上であるか

みなし残業代や固定残業代が適切に明示されているか

みなし残業代固定残業代とは、あらかじめ一定時間の時間外労働手当、いわゆる残業代を月給に含めて提示する場合に用いられます。

例えば、下記のような条件の場合、みなし残業代が見込まれた求人です。

月給 300,000円以上
みなし残業代 40時間分(75,000円)
みなし残業代を除いた基本給 225,000円
割増賃金を追加で支払う旨 40時間を超える時間外労働は別途支給

また、リンク先ページ下部に掲載されている厚生労働省による「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」というリーフレットでは、固定残業代について求人募集の段階で下記3点を明示する事を示しています。

・固定残業代を除いた基本給の額
・固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
・固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

上記のように、固定残業時間を超えた時間外残業については残業代を別途支給しなければなりません。求人票にみなし残業代や固定残業代との記載があった場合、以上の内容が明示されているか確認しましょう。

みなし残業代や基本給は最低賃金で定める基準以上でなければならない

大前提として、みなし残業代や固定残業代を含めた提示金額が最低賃金で決められた基準以上で無ければ違法となります。

平成28年10月1日発行の東京都の地域別最低賃金は時給932円です。また、法定外の割増しを考慮した場合、1.25倍の時給1,165円になります。

そのため、例えば「固定残業手当30,000円(月40時間分)を含む」という提示金額があったとしたら、時給換算で750円となります。これは、東京都では明らかに違法な求人になります。

更に、法定時間外や深夜の割増し、法定休日に勤務させた場合の割増しに関しても反映されている必要があります。

8時間を超えた労働や深夜の労働は賃金が割増しされる

ちなみに、労働時間は一日8時間・一週間に40時間までが基本です。

そして、この一日8時間を超えて社員が働くには、いわゆる36協定(さぶろくきょうてい)と言われる労使協定を、使用者である企業と労働者・社員の代表が締結しなくてはいけません。

また、時間外労働を大きく分けると「法定時間内の残業」「法定時間外の残業」の2つがあります。

そして、法定時間外の残業と、原則22時〜5時の深夜の労働(深夜残業)には、それぞれ25%以上の割増賃金を支払わなければいけません。つまり、22時以降の法定時間外の残業の場合、25%+25%=50%の割増賃金となります。

みなし残業代の計算においても割増しが考慮されている必要があります。
割増し賃金時間の図

みなし残業代と実際に働いた残業時間の関係

みなし残業代や固定残業代であらかじめ決めた残業時間と、実際に働いた残業時間に違いが出た場合は、どのような扱いになるのでしょうか。

みなし残業代で決められた時間より残業時間が少なかった場合

月の残業時間がみなし残業代で設定している残業時間より少なく済んだ場合でも、みなし残業代は満額で支給されます。

上記の例で言えば、実際の残業時間が30時間で済んだ場合でも、40時間分貰えるという事です。

みなし残業代で決められた時間以上の残業をした場合

月の残業時間がみなし残業代で設定している残業時間を超えてしまった場合は、超えた分の残業代は別途支給されます。

みなし残業代や固定残業代としているからといって、追加の残業代が支払われなくて良いという事ではないのです。

みなし残業代や固定残業代が提示されているときは基本給を要確認

みなし残業代や固定残業代を提示している求人を検討する時は、基本給部分の金額を良く確認して下さい。

理由は、年収を考える際に基本給の金額が大変重要になるからです。

A:月給24万円(基本給17.52万円、みなし残業代40時間分5.48万円含む)
B:月給20万円(基本給20万円、残業代は別途支給)

他に手当などが無いと仮定すると、上の条件の場合、月給額だけ見るとAの求人の方が給料が良さそうにも見えます。しかし、基本給部分で考えた場合、Bの求人の方が高いです。

そして、ボーナス算定や残業代算定時の単価については基本給部分がベースになる事が多いです。

上記の例であれば、1ヶ月の所定労働時間を8時間×20日=160時間と仮定した場合、Bの割増賃金単価(残業代算定時の単価)とAと同様に40時間残業した場合の残業代は下記です。

・20万円÷160時間×1.25倍=1562.5円
・1562.5円×40時間=6.25万円←Bの条件での40時間残業した月の残業代

そのため、Bの条件でAのみなし残業で設定している40時間分残業した場合、Bの実際の月給は26.25万円となり、月給だけでAを逆転します。

更に、ボーナス支給額でも差が出るでしょう。

残業の無い休日のイメージ

みなし残業代や固定残業代の求人は内容をきちんと精査しよう

みなし残業代や固定残業代を採用する企業の中には、残業代支払いを免れるために悪用しているケースも見られますが、そうした使い方は間違いです。

・みなし残業代や固定残業代の内容がキチンと明示されているか
・最低賃金の基準や割増賃金の規定を満たしているか
・基本給を把握した上で、年収ベースで正しい判断ができているか

転職の際には求人内容を精査し、上記の事を確認するようにしましょう。

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