月給にみなし残業が含まれる場合、実際には時間単価に大きな違いが出て来るので正しく計算して比較することが重要です。
例えば転職時に求人情報から給料を比較する時などに、時間単価を比較することで年収の違いがわかり、最低賃金を割り込む違法な求人を発見することができます。
この記事では3パターンの求人情報から時間単価を求め、基本給の違いを比較します。
3パターンの求人情報から時間単価を調べる
残業代は基本的に残業時間と仕事の時間単価を求めることで調べることができます。特に時間単価を求めることは重要で、
・年収の目安を知ることができる
・問題のある求人を見つけることができる
といった2つの大きなメリットを受けることができます。
今回は以下の3パターンの月給から時間単価を求め、比較します。
パターン | A | B | C |
月給(基本給+みなし残業代) | ¥240,000 | ¥240,000 | ¥240,000 |
みなし残業代 | なし | あり | あり |
みなし残業時間(月間) | 0時間 | 20時間 | 80時間 |
所定労働時間(月間) | 160時間 | 160時間 | 160時間 |
みなし残業代を含む月給は3パターンともに24万円としていますが、
パターンAはみなし残業なし、パターンBとCはみなし残業代が月給に含まれています。パターンBはみなし残業時間が20時間、パターンCではみなし残業時間が80時間の場合としています。
ではそれぞれの場合での時間単価を調べてみましょう。
みなし残業を含まない場合の時間単価
まずはパターンAです。
パターン | A |
月給(基本給+みなし残業代) | ¥240,000 |
みなし残業代 | なし |
みなし残業時間(月間) | 0時間 |
所定労働時間(月間) | 160時間 |
時間単価 | ¥1,500 |
基本給 | ¥240,000 |
みなし残業代 | ¥0 |
残業代時間単価 | ¥1,875 |
月給(残業20時間の場合) | ¥277,500 |
月給(残業80時間の場合) | ¥352,500 |
みなし残業代を含まない場合の時間単価の求め方は単純で、
【月給】÷【所定労働時間】で求めることができます。
この場合の時間単価は1,500円です。
残業代時間単価は1時間あたり1,875円になりますので、残業20時間の場合の月給は27.75万円、残業80時間の場合の月給は35.25万円となります。
みなし残業代20時間分を含む場合の時間単価
次にパターンBです。
この場合はみなし残業時間が20時間含まれています。
パターン | B |
月給(基本給+みなし残業代) | ¥240,000 |
みなし残業代 | あり |
みなし残業時間(月間) | 20時間 |
所定労働時間(月間) | 160時間 |
時間単価 | ¥1,297 |
基本給 | ¥207,568 |
みなし残業代 | ¥32,432 |
残業代時間単価 | ¥1,622 |
月給(残業20時間の場合) | ¥240,000 |
月給(残業80時間の場合) | ¥304,865 |
みなし残業代が含まれる場合の時間単価は
【月給】÷(【所定労働時間】+【みなし残業時間】×1.25)
で求めることができます。
計算をすると時間単価は1,297円となります。パターンAと比べると約14%時間単価が低いことがわかります。
残業20時間の場合はみなし残業代を含まない場合と比べて37,500円の差が出てきます。
またボーナスは残業代を抜いた基本給を元に算定されるため、この点でもみなし残業を含まない場合に比べて約32,400円低くなるということが年収の差に表れてきます。
みなし残業代80時間分を含む場合の時間単価
最後にパターンCの場合です。
パターン | C |
月給(基本給+みなし残業代) | ¥240,000 |
みなし残業代 | あり |
みなし残業時間(月間) | 80時間 |
所定労働時間(月間) | 160時間 |
時間単価 | ¥923 |
基本給 | ¥147,692 |
みなし残業代 | ¥92,308 |
残業代時間単価 | ¥1,154 |
月給(残業20時間の場合) | ¥240,000 |
月給(残業80時間の場合) | ¥240,000 |
みなし残業時間が80時間の場合は時間単価が923円となります。
このパターンは2017年5月時点での東京都の最低賃金932円を下回っているため違法な求人ということになります。
このように、時間単価を求めることで違法な求人を発見することもできます。
また残業が80時間あった場合のパターンA,Bとの給料を比較すると、大きな違いが出ることがわかります。
みなし残業時間が長く設定されている場合は注意が必要です。
時間単価を求めることで得られるメリット
あらためて、3パターンの求人での時間単価と月給の比較を見てみましょう。
パターン | A | B | C |
月給(基本給+みなし残業代) | ¥240,000 | ¥240,000 | ¥240,000 |
みなし残業代 | なし | あり | あり |
みなし残業時間(月間) | 0時間 | 20時間 | 80時間 |
所定労働時間(月間) | 160時間 | 160時間 | 160時間 |
時間単価 | ¥1,500 | ¥1,297 | ¥923 |
基本給 | ¥240,000 | ¥207,568 | ¥147,692 |
みなし残業代 | ¥0 | ¥32,432 | ¥92,308 |
残業代時間単価 | ¥1,875 | ¥1,622 | ¥1,154 |
月給(残業20時間の場合) | ¥277,500 | ¥240,000 | ¥240,000 |
月給(残業80時間の場合) | ¥352,500 | ¥304,865 | ¥240,000 |
時間単価を求めることで得られるメリットは以下に挙げられます。
・年収の目安を知ることができる
・問題のある求人を見つけることができる
転職を考える時には求人情報から内容を比較する事になります。
同じような情報が記載されていても、実際に受け取る給料では大きな違いが表れてくることがあります。特にみなし残業代が月給に含まれる場合は注意が必要です。
給料を比較する時に一番簡単な方法は時間単価を求めることです。時間単価が分かることで、ボーナスに影響してくる基本給を比較することができます。
また、労働基準法の基準を満たさない時間単価の求人が掲載されていることもあります。違法な求人を事前に把握するためにも、時間単価を調べることが重要です。
時間単価を比較して転職先を選ぼう
この記事では見た目では同額に見える場合でもみなし残業時間によって大きく時間単価が変わり、実際に得られる月給・年収に差が表れるということをご紹介しました。
求人情報から時間単価をチェックすることで転職先を選ぶ基準が見えてきます。簡単に計算できますので、転職先を考える場合にはぜひ調べてみてください。
フリーランチでは転職を検討している方のキャリア相談を受け付けています。給料面での不安についてもご相談に乗りますので、ぜひお問い合わせください。