退職後半年間無職でも生き延びるために必要な貯金は最低126万円!社会保険料や住民税…必要な費用をまとめてみた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

仕事探しは在職中の方がはるかに簡単で、内定先との交渉も在職中だと有利に進めることができます。会社の経営状態が思わしくなく、突然クビになったり、多忙すぎて転職活動の時間が取れなかったり、現在の仕事と距離をおかないと精神的に参ってしまって前向きな気持ちになれないなど、次の仕事を選ぶ前に退職をして、無職になるケースもあります。無職期間中も生活費はもちろん、会社員時代には給料から天引きされていた健康保険料・年金保険料、そして住民税を自分で納めなくてはいけなくなります。生活費は少しずつでも工夫することで切り詰めていくことができますが、健康保険料と住民税は会社員時代の収入にあわせて支払わなくてはならず、負担の大きさに戸惑う事も大きいことでしょう。

収入はないけれど毎月支払わなければいけないお金がある。このような期間が長期化すると、貯金を切り崩して暮らしていくことになります。それでは、どれだけの貯蓄があれば安心して転職活動を送ることができるのでしょうか?自分が納得できる転職を叶えるために、余裕が持てるようにするにはどうすれば良いか、考えていきましょう。

 退職後にかかる生活費、必要な貯金額、月給別に算出してみた

フリーランチでは、月収別に生活費と退職後に必要な社会保険の支払いをまとめました。アトリエ事務所から組織設計事務所、ゼネコンなどに勤務している方を想定して、月収20、30、40万円という3つの月収帯で試算しています。今回の試算はすべて、東京都内在住で20~30代の単身世帯という設定で行っています。(数字はすべて2016年6月現在)

ズバリ言うと、退職して6ヶ月間に必要になる預貯金は約126万円~144万円となります。

収入 社会保険料+住民税① 平均消費支出② 1ヶ月の支出(①+②) 6ヶ月分の支出③
月20万円 ¥45,499 ¥165,361 ¥210,860 ¥1,265,159
月30万円 ¥59,961 ¥165,361 ¥225,322 ¥1,351,935
月40万円 ¥75,121 ¥165,361 ¥240,482 ¥1,442,893

(表1:退職後6ヶ月間で必要になる預貯金額)

まず、収入額ごとに健康保険料・年金保険料と住民税の金額を算出しました(①)。

また、生活費としては総務省統計局で集計している単身世帯の平均消費支出から生活に必要になる金額を求めています。この内訳の中で、「家賃」支出が持ち家の方も統計に含んでいるため低くなっていることから、ここでは東京都中野区での一人暮らし向け物件の家賃平均、月78,300円を試算に組み込みました。その結果、生活にかかる必要支出としてはひと月あたり165,361円を基準として割り出しています(②)。

これらのひと月あたり支出の6ヶ月分を算出すると、月収20万円、30万円、40万円のそれぞれで社会保険料などの負担額は変わりますが、必要な預貯金額はおよそ126万円~144万円となりました。(③)

月収帯によって必要な金額としては約20万円ほどの差ですが、月収40万円の人にとっては月収の3.6ヶ月分になるところ、月収20万円の人にとっては月収の約6.3ヶ月分が必要という結果になりました。これだけの額を貯金しようと考えると結構大変ですよね。

また、今回は試算に組み込みませんでしたが、奨学金の返済も必要となると、支払う金額はさらに大きくなります。他にも住宅手当のある会社では退職に合わせて家賃負担が発生するケースや、社宅扱いで住んでいる住宅から引っ越さなければいけないケースもあります。これらの負担は皆さんの実情によってそれぞれ違いますので、会社を退職することを考えたり、会社の雲行きがあやしいなと感じた場合は、あらかじめ計算しておくべきです。

それではここからは、これらの負担の詳細を説明していきます。

 退職後に自分で支払わなければいけない健康保険料・年金保険料、そして住民税

会社員として勤めている時には給与から天引きされていた健康保険料と年金保険料、そして住民税ですが、会社を退職することにより、自分でこれらを納付することが必要になります。また、会社員とは異なる制度が適用されるようになるので、どのような選択をすれば出費を抑えることができるのかについても簡単にご説明します。

 退職後の健康保険、任意継続と国民健康保険どちらがお得?

協会けんぽ任意継続 国民健康保険
月20万円 ¥19,920 ¥11,601
月30万円 ¥27,888 ¥17,453
月40万円 ¥27,888 ¥24,141

(表2:健康保険料の違い)

会社員は基本的に会社が加入している健康保険組合の健康保険に入り、健康保険料を負担していますが、退職時にはこの健康保険組合に継続して加入するか(これを「任意継続」といいます)、国民健康保険に加入するかという2つの方法を選択する必要があります。

(ちなみにフリーランスとして働く場合はフリーランスが加入できる健康保険組合に加入するというもう一つの方法もあります。詳しくは「退職し、フリーランスになる時に考えたい健康保険の選択肢」をご参照ください。)

任意継続の場合は会社員時代と変わらない健康保険組合の福利厚生サービスを受けることができますが、給与から天引きされていた金額をそのまま納めれば良いのではありません。実は会社員時代には健康保険料の半額を会社が負担していたので、退職すると負担額は倍になってしまいます。

対して国民健康保険は健康保険料が割安です。例えば月収30万円の場合では、企業の健康保険組合(この試算では「協会けんぽ」)で任意継続する場合は一月あたり27,888円であるのに対し、国民健康保険に加入する場合は一月あたり17,453円となり割安であることがわかります。

このように国民健康保険の保険料が割安になる場合が多いですが、国民健康保険は自治体により負担額が変わってきます。そして国民健康保険の保険料は賞与も含めた年収を基準にしているため、賞与が多く出ている場合は保険料負担が高くなります。対して任意継続の保険料は月収28万円を限度として上限が定められているため、退職前の収入が多かった人の場合は任意継続の方が保険料負担が安くなる場合があります。

また今回は単身世帯での試算としていますが、扶養家族がいる場合は任意継続であれば扶養家族の分の保険料はかかりません。対して、国民健康保険では扶養家族であるかどうかに関わりなく世帯の人数分保険料がかかるため割高になるケースもあります。

退職後の保険料が気になる方は加入している健康保険組合に問い合わせてみましょう。

 会社員時代の厚生年金、退職後は国民年金へ

国民年金 厚生年金
月20万円 ¥16,260 ¥17,828
月30万円 ¥16,260 ¥26,742
月40万円 ¥16,260 ¥36,547

(表3:年金保険料の違い)

年金保険料については、会社を退職すると会社で加入していた厚生年金から脱退し、国民年金に加入することになります。国民年金は収入に関わらず一人あたり16,260円です。それぞれの収入に合わせた厚生年金保険料に比べると負担額が安いことが分かりますが、老後に受け取ることが出来る年金額は厚生年金に比べるとかなり低くなります。

意外と多い、退職後に支払う住民税

住民税
月20万円 ¥17,638
月30万円 ¥26,248
月40万円 ¥34,720

(表4:住民税額)

住民税は昨年1年間、1月から12月までの間の収入から基礎控除や社会保険料控除などを差し引いた課税所得に税率(東京都は10%)を掛け、一人あたりにかかる税額(東京都では5000円)を加えた金額になります。住民税額が決定するのは毎年6月で、そこから翌年5月までの間に納めていくことになるため、1月から5月までに退職する場合と6月から12月までの間に退職する場合で税金の支払い方法が少し異なり、負担の仕方も変わってくるのに要注意です。

6月から12月に退職する場合

退職する月の分の住民税は給与から天引きされますが、その後翌年5月までの住民税は自分で納めなければいけません。退職後にすぐ税金を納めないといけないので負担額が大きくなりますが、一括支払いと分割支払いを選択することができるので、すぐに転職することを考える場合には分割支払いにした方が少しは手元に残るお金に余裕ができます。

1月から5月に退職する場合

1月から5月の間に退職する場合は、退職する月に5月分までの住民税が天引きされることになります。つまり、3月に退職する場合は3月から5月までの3ヶ月分、1月に退職する場合は1月から5月までの5ヶ月分といった形になります。5月までは自分で住民税を納める必要がありませんので直接の負担額は安くなりますが、最後の月の給与がその分天引きされていますので、思ったより少ないと感じることでしょう。また、6月からは自分で住民税を納めることになりますのでそれまでに住民税を納めない形に慣れてしまうと税金分が支払えなくなってしまうかもしれません。気をつけて住民税分の余裕を残しておきましょう。

お金に対するリテラシーと、スムーズな転職に向けた戦略が必要

以上、今回は退職して収入が途切れた状態でも支払わなければいけない支出について考えました。以前「給料日!建築業界、知っておきたい社会人のお金のため方・使い方」で給料の半年分を生活防衛資金として貯めておこうということを述べましたが、今回の試算で月収お金の余裕がないために自分の本意でない仕事を続けたり、退職してから慌てて転職活動をはじめたりすると、行き先を見失ってしまう結果になります。そうなる事のないようにお金に対するリテラシーが必要です。また、転職活動に時間を取られてしまわないように、退職後スムーズに新しい仕事につくためには退職前の段階から戦略的に転職に向けた動きを進めていくことが重要です。

好むと好まざるに関わらず、仕事選びの失敗や上司との相性など、アクシデントは発生してしまうものです。ストレスフルな状況で我慢しながら働いていると、精神的に病んでしまう可能性があるため、生活のために仕事にしがみつくような状況はつくらないことが大切です。本当にやり直しが効かなくなってしまう前に、思い切って辞めることも自分の身を守るために重要なことです。

転職活動をせずに退職した場合、新しい仕事を探すまでには半年ぐらいの時間はかかります。短期間で選考が進む会社には、何らかの問題を抱えている場合もあるので、まともな会社に巡り会うためにも半年ぐらいはかかるものだと腹をくくって挑みましょう。その時に支えになるのが、半年分の年収相当の生活防衛資金なのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。