退職後に転職する場合安心な貯金額を必要な生活費や社会保険料から解説

退職後に転職活動を行う時には、すぐに転職ができなくても焦ることのないよう、最低でも半年分の生活費に相当する貯金があればベターです。

退職後には、これまで会社が支払ってきた社会保険料も個人で負担する必要がでてくるため出費が増えます。

この記事では、必要な生活費や社会保険料を算出し、詳しく解説します。また、もしも貯金額に不安がある状態で退職しなければいけない場合の対処法についても紹介しています。

退職後に必要な貯金額を月給別に算出

在職中は仕事も忙しく、なかなか転職活動に取り組めないということで退職後に転職活動を本格的に進めるという方も少なくありません。

無職期間中も生活費はもちろん、会社員時代には給料から天引きされていた健康保険料・年金保険料、そして住民税を自分で納めなくてはいけなくなります。

生活費は工夫することで切り詰めていくことができますが、健康保険料と住民税は会社員時代の収入にあわせて支払わなくてはならず、負担の大きさに戸惑う事も大きいことでしょう。

フリーランチでは、月収別に生活費と退職後に必要な社会保険の支払いをまとめました。ズバリ、退職して6ヶ月間に必要になる貯金は約120万円~150万円となります。

退職前の収入 A:想定生活費 B:社会保険料+住民税 1ヶ月の支出(A+B) 退職後6ヶ月の支出
月20万円 ¥157,000 ¥45,499 ¥202,499 ¥1,214,994
月30万円 ¥167,000 ¥59,961 ¥226,961 ¥1,361,766
月40万円 ¥177,000 ¥75,121 ¥252,121 ¥1,512,726

(表1:退職後6ヶ月間で必要になる預貯金額、数字はすべて2017年5月現在)

上記、表1の試算はすべて、東京都内在住で20~30代の単身世帯という設定で行っています。

小さな設計事務所から組織設計事務所、ゼネコンなどに勤務している方を想定して、月収20、30、40万円という3つの月収帯で「想定生活費」「社会保険料+住民税」について最も安くなる場合をまとめています。

退職前に月収20万円だった人が最も負担が大きく、月収の6ヶ月分をほぼそのまま貯金しておきたいところです。日頃からの節制や貯金の習慣がなければ辛いかもしれません。

以下、表1中の「想定生活費」と「社会保険料住民税」について解説していきます。

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必要最小限の想定生活費は月15.7万円

東京都内の20~30代単身が、退職後に転職活動を行う上で必要な出費は最低でも月15.7万円程度ではないかと考えます。

下記表2の金額は最低限の想定なので、例えば奨学金の返済などが必要であればさらに金額は増えることになります。

家賃 7.0万円
水道光熱費 1.0万円
携帯電話+自宅インターネット光回線 0.7万円
食費(1日1,500円) 4.5万円
移動交通費 1.0万円
医療費 0.2万円
交際費 1.0万円
日用品 0.1万円
合計 15.7万円

(表2:必要最小限の生活費内訳)

 

家賃は、退職前の月収が20万円の場合で7万円、30万円の場合は8万円、40万円の場合は9万円と想定しています。表2では退職前の月収が20万円だった人を想定しています。

他にも考慮しなければいけないのは引越し代です。例えば社宅扱いで住んでいる住宅から引っ越しをし、住居を自己負担することになると多額の費用がかかります。

引っ越しをしてでも安い物件を借りるか、それとも早期に転職を決めることを考えて同じ部屋で住み続けるかという事も検討すべきポイントです。

これらの経費も加え、安心できる額を貯金することが必要です。

毎月の社会保険料と住民税の支払額を解説

退職後も健康保険や年金といった社会保険料、そして住民税を支払わなければいけません。それぞれいくら支払う必要があるのか下記表3にまとめています。

収入 国民健康保険 国民年金 住民税 社会保険料
+住民税
月20万円 ¥11,601 ¥16,260 ¥17,638 ¥45,499
月30万円 ¥17,453 ¥16,260 ¥26,248 ¥59,961
月40万円 ¥24,141 ¥16,260 ¥34,720 ¥75,121

(表3:健康保険料、住民税の違い)

健康保険は国民健康保険がお得

退職後の健康保険は国民健康保険と会社で入っていた健康保険の任意継続という2つの方法を選ぶ事ができます。

単身者の場合は月収20~40万円程度であれば国民健康保険を選択する方がお得です。

国民年金の保険料は一律の負担額

年金保険料については、会社を退職すると会社で加入していた厚生年金から脱退し、国民年金に加入することになります。国民年金は収入に関わらず一人あたり16,260円(H29年度)です。

住民税は前年度の収入によって決定される

住民税は一人あたりの固定額に加えて収入に比例した額を支払わなければいけません。前年の収入が高い人ほど負担が大きくなります。

退職前に貯金する親子のイメージ

貯金が足りなくても退職せざるを得ない場合は?

ここまで退職後に必要になってくる出費について解説しました。

半年間無職でも生き抜けるようにするためには120~150万円程度の貯金があれば安心です。

しかし現実的には、心体の状態が悪くなってしまい十分に貯金がなくても退職せざるをえないケースもよくあります。

また多忙で転職についてはとりあえず会社を辞めてからしか考えられないという場合もあります。

これらのように十分な備えができていない場合でも、安心して転職に向けた活動ができる方法がありますのでご紹介します。

主に下の4つの方法を取ることが可能です。

1:ハローワークで失業保険の給付を受ける

2:失業時の家賃補助を受ける

3:短期間で仕事につける派遣会社に登録する

4:国民年金の免除申請を行う

それぞれ、どんなメリットがありどこへ連絡すればよいのか簡単にまとめます。

項目 連絡先 メリット
失業保険 ハローワーク 求職活動中、一定期間失業保険の給付が受けられる
家賃補助 区役所などの窓口 収入・貯金額が低い場合一定額の家賃補助が受けられる
派遣に登録 派遣会社 短期間で働き始めることができる
正社員への登用ルートもある
国民年金の免除 区役所などの窓口 退職し収入がない場合保険料の支払いが免除される

これらの制度を上手に組み合わせて利用することで、補助的な収入や支払いの免除などのメリットがあります。安心して転職に向けた活動を行うためにぜひご活用ください。

貯金や補助制度を利用し退職後の転職活動中でも安心できる態勢を

以上、退職して収入が途切れた状態でも支払わなければいけない支出についてまとめました。

退職後安心できる金額が分かっていれば、毎月の貯金などの計画が立てやすくなります。貯金がすでにできている状況であればベストですが、もし貯金ができない環境でも様々な方法で収入を補いながら転職活動を進めることが可能です。

また、給料日!建築業界、知っておきたい社会人のお金のため方・使い方では、給料の半年分を生活防衛資金として貯めるための効果的な方法をご紹介していますので合わせてご覧ください。

フリーランチでは在職しながらでも転職活動ができる方法や、退職後にかかる費用について、個別にアドバイスを行っています。転職を検討されている方や現状の働き方にお悩みの方はぜひキャリア相談をご利用ください。

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