松田平田やRIA、大建など中堅組織設計事務所の特徴や違いを紹介!その1

日本国内にはいわゆる組織設計事務所と呼ばれる建築設計事務所が数多くあります。組織設計事務所ってみんな同じ?業界大手10社の概要大公開!では大手組織設計事務所を取り上げましたが、この記事では中堅と言われる組織設計事務所を取り上げます。

大手組織設計事務所は幅広い用途・ジャンルを手がけていますが、中堅組織設計事務所では特徴を明確に打ち出している、という傾向があります。

この記事では中堅組織事務所のうち、松田平田設計・RIA(アール・アイ・エー)・大建設計の3社の特徴を解説します。

本社ビルのリノベーションが有名な松田平田設計

松田平田設計国内でも歴史ある名門組織設計事務所の一つです。松田軍平の個人事務所からスタートし、執筆時の社員数は 347 名、一級建築士は 176 名在籍しています。本社は東京で、その他に横浜・大阪・九州・沖縄に事務所を持っています。ホームページからは、海外拠点は見受けられませんでした。

松田平田設計のウリと特徴

ホームページでは画面いっぱいに建築写真を使って入る点が特徴的で、松田平田設計は設計した建築自体を自社の特徴としていることがわかります。「業務内容」では建築設計や構造設計等、各セクションの代表的な 実績がテーマごとに 3 件ずつ紹介されており、各部門の取組みを知るには良い資料になります。

松田平田設計が手掛けた作品・プロジェクト

オフィスが得意な組織設計事務所ではありますが、新築だけでなく、旧松田平田設計本社ビルを自身でリノベーションした現在の本社も有名です。また、東京理科大学九段校舎のコンバージョンや郵船ビルのリニューアル計画も手がけており、リノベーションやコンバージョンには力を入れています。

また、スポーツ施設や観覧施設にも実績があり、横浜国際競技場・埼玉県立武道館をはじめ、東京競馬場のフジビュースタンドといった競馬場のスタンドを複数設計しています。その他、ランドスケープと一体となった設計の神田外語大学7号館や明治大学和泉新図書館などが近年の代表作と言えるでしょう。

また、新橋駅前の白い格子状の外観が印象的なニュー新橋ビルも松田平田設計の作品です。
大手に比べれば小規模ではありますが、印象的な作品が多い中堅組織設計事務所です。

松田平田設計のニュー新橋ビル

地方でのまちづくりの実績多数、RIA(アール・アイ・エー)

RIA(アール・アイ・エー)は東京に本社を置く中堅組織設計事務所で、その他に北は東北、南は沖縄まで全国に10の支社を持っています。また、中国にも拠点を持っており、中堅組織設計事務所の中では広範囲で活動している設計事務所と言えます。

普遍のテーマは「新しいまちの姿を創造する」

RIAは、意匠設計・構造設計・環境設計の3つのほかに、まちづくりという業務種別を設けています。

また、自社ホームページの「まちづくりストーリー」というページを建物の実績とは別に設けています。そのページではプロジェクトをその過程とともに紹介しており、再開発事業を一つの強み捉え、各種情報発信を行っています。

RIAは純粋な建築設計事務所というよりは市街地再開発のコンサルティングも得意とする設計事務所と言えるでしょう。

再開発だけでなく、有名建築事務所と組んだ話題作も手掛ける

RIAは金沢の近江町いちば館や片町きらら、広島のアイネスフクヤマなど、地方での再開発プロジェクトで知られています。特に金沢は40年を超える歳月をかけて再開発を行っており、かなり力を入れているように見受けられます。
また、クラインダイサムアーキテクツと取組んだDAIKANYAMA T-SITEや、隈研吾建築都市設計事務所と取組んだTOYAMAキラリ(富山西町南再開発)などの話題作にも関わっています。

再開発と絡めた複合的なプロジェクトを通じて都市に関わりたい、と考えている設計者の方は中堅組織設計事務所の中でもRIAに向いていると言えるでしょう。

中堅の中でも売上が高く、水族館に実績のある大建設計

大建設計は大阪が発祥の組織設計事務所です。この記事では中堅組織設計事務所と分類していますが、その中でも売上高が大きく、近年では50~60億円程度で推移しています。人によっては大手の一角と位置づける場合があるでしょう。

2015 年 12 月現在での職員数が 306 名 という規模感で、現在の本社は東京事務所になります。その他、大阪本店・名古屋・九州・ 札幌・広島・東北他、全国に拠点を持つ中堅組織設計事務所です。海外進出の面では国際事業部があるものの、現地拠点は持っていないようです。

大建設計は生産施設を多く手掛ける

建築作品では、派手さはありませんが富士フイルムなど大手企業の生産施設の実績が多い中堅組織設計事務所の一つです。その一方、特徴的な意匠の但馬ドーム(環境デザイン研究所と共同企業体)や全天候型運動施設の木の花ドーム、函館アリーナといったスポーツ施設の実績もあります。

また、須磨海浜水族園をはじめ、水族館の設計実績が豊富にあるのも大建設計の特徴です。近作ではエプソンアクアパーク品川や仙台うみの杜水族館、新潟市水族館のリニューアル等があります。大建設計自身も水族館の設計を特徴の一つとして挙げているので、こういった施設に関わりたい方は是非調べてみましょう。

大手以上に各社の特徴が明確な中堅組織設計事務所

同じ中堅組織設計事務所でもかなり特徴が異なるという事がわかるかと思います。

松田平田設計、RIA、大建設計の特徴をまとめると、
・名門組織設計事務所として印象的な作品が多い松田平田設計
・再開発に強くコンサルタント的な側面もあるRIA(アール・アイ・エー)
・大手に匹敵する売上がありつつ、水族館という特徴的な強みを持つ大建設計

安井や東畑など中堅組織設計事務所の特徴や違いを紹介!その2につづきます。

中堅組織設計事務所を志望する方は、各社をきちんと分析し、強みや特徴を理解しましょう。

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