【初めての確定申告】青色申告のメリットをもっと詳しく教えます!

青色申告を行うにあたり、前回のエントリー「【初めての確定申告】納税はどれだけ稼いでから行うものなの?」では、申告納税とはどいう制度なのか、そして青色申告を行うために知っておくべきことについて解説しました。

青色申告を行うだけでも特別控除が得られるという十分なメリットがあるのですが、実はもっとお得なこと、青色申告の制度をもっと詳しく知って活用することで更にメリットとなりえることがあるのです。
そこで、今回は税金の控除という金銭面でのメリットだけではなく、特に個人事業主(フリーランス)として事業を始めた方にとっては事業でも有効かつ、お得な情報についてお教えしたいと思います。

この記事を読んで、更に青色申告のメリットを知り、あなたの事業に存分に生かしてください。

建築の働き方の悩み、プロに相談しませんか?

メリットその1:青色事業専従者給与

青色事業専従者給与とは、青色事業専従者へ払う給与分が所得から控除される制度です。
例えば、自分が行っている事業のサポートを親族に手伝って貰う場合、そのために親族に支払う給与分については所得から控除される、所得税の対象とはなりません。但し、青色事業専従者給与には条件が設定されており、親族であったとしても以下の場合のみが対象となります。

(1)事業者と同居していること
(2)15歳以上であること

配偶者を青色事業専従者として雇うことが多いのは、このためでもあります。
「青色専従者」として配偶者を登録するに当たり、具体的な業務を任せるとなるとなかなか難しいものですが、経理として働いてもらうこと(具体的な仕事としては確定申告のための作業をサポートしてもらうこと)が多いようです。

事業が大きくなってきて一人で捌くことが出来なくなり、経理を配偶者に任せるぐらいのことが必要になる、給与として支払う額に見合う分の業務内容を任せる場合には非常に有効な方法であると言えます。
但し、この場合は実態としても給与を支払うことが必要となるので、ただ節税だけを考えて行うのであればあまりおススメしません(所得を落とすことにもなるからです)。

また、(実際にサポートを行う業務量はそれぞれの事業、家庭によっても変わってくるとは思いますが)ちゃんと家計の中でのそれぞれの収入というものを考えた上で、給与を設定するべきことでもあります。実態に似合わない給与額を付けても悪くはないとしても、そのことで配偶者や家族の間に軋轢を生んでしまいかねません。

お互いに合意していないことには後々揉めてしまう、節税のために行ったことで生活がうまくいかなくなるのは避けたいことです。もしあなたが家族や配偶者を青色専従者として雇うのであれば、自分の所得を活かせるように設定するのはもちろん、是非ともしっかりと話し合って双方が納得するようにしてください。

育児をしながら働くフリーランスの女性

メリットその2:少額減価償却資産の特例

青色申告にはもう一つメリットがあります。それが少額減価償却資産の特例です。
少額減価償却資産の特例を端的に説明すると、30万円未満の資産を購入した場合、減価償却を分割ににせずに一括でその事業年度の経費として計上することです。
しかし、これだけの説明では理解しがたいでしょうから、先ずはこの特例を理解するための前提として減価償却とは何かと言う事を簡単に説明します。

経理上では事業のために使用される建物や車両、機械については消耗品とは異なり、長期間価値を持つものとして資産として取り扱われます

例えるならば100万円で購入した自動車は、利用している期間中にいきなりその価値が100万円からゼロになるわけではない、使用している間はある程度の価値を持っている(価値が持続している)とみなされるということです。
ここで言う価値とは主観的なものさし(個人的な価値観)で測られるものではなく、その品目によって一定の期間で価値が下がるように細かく基準が決まっていて、その基準に合わせて計算されることとなっています。これを減価償却といいます。

先ほどの例で言えば、普通自動車は4年で減価償却するものとして計算されるので、1年あたり25万円を経費とする、減価償却することができるわけです。

また、この減価償却資産と呼ばれる品目のものは、基本的には価格が10万円以上のものが相当すると定められています。(パソコンなども一般的には4年で減価償却される、減価償却資産だと考えられています。)
つまり10万円以上の資産となるものを購入した場合は、基本的には数年に分けて経費として計上しなければいけないというわけです。

しかし、10万円以上の資産であっても、数年に分けて経費として計上しなくてもよい場合があります。
それが「少額減価償却資産の特例」です。

青色申告を行う事業者であれば、30万円までの減価償却資産は分割ではなく、一括して経費として計上することができるという特例です。

事業が好調で所得が多くなった場合、そのまま計上してしまえば課税所得額も多くなるため翌年の所得税が高くなってしまうことにもなります。
そこで、少額減価償却資産の特例を使って、30万円未満の資産を購入して一括して経費にしてしまえば、その分だけの課税所得額を減らすことができる(必要経費として計上できる)、つまり、その分の所得税を抑えることができるというわけです。

これも分かりやすい例で考えてみましょう。

例えば、自宅で作業をすることが多い個人事業主ならば、作業環境を良くするということでスペックの良いパソコンを購入する、座り心地が良いイスを購入する、暖房機能のあるエアコンを設置する…などです。資産となるものを購入して作業環境を良くすることは立派な設備投資となり、少額減価償却資産として計上することが出来るのです。

このように自分の仕事を円滑に進める、快適にするためのステップアップを投資と考えて資産の購入に充てれば、少額減価償却資産の特例とすることで税金の控除にもなります。つまり、青色申告を行う事業者にとっては少額減価償却資産の特例はメリットが大きい制度なのです。

メリットの多い青色申告を是非行いましょう

もちろん青色申告には他にも納税における金額だけでなく制度面でもメリットがありますが、今回取り上げた「青色事業専従者給与」、及び「少額減価償却資産の特例」だけでもとても大きなメリットとなることがご理解いただけたと思います。

この2つだけでもしっかりと踏まえて実践すれば、かなりの税金の控除が期待できます。

次回は、確定申告を更に円滑に進めるために申告には欠かせない必要経費の概念、及び領収書について詳しく説明していきたいと思います。
是非次回の記事を読んで、確定申告の準備、申告を計画的に進めてくださいね。

仕事の悩みを働き方のプロに相談しませんか?